平成30年(2018年) 12月定例会
平成30年12月7日(金)
1、障害児を育てる母親の就労の実態。
2、保育所、幼稚園、学童保育での障害児の受け入れ状況。
3、障害児通所支援における利用状況。
4、現在と今後の取り組み。
田中文代の発言は、背景を青色で表示しています。
◆田中文代
チーム創生、田中文代でございます。通告に従いまして、初回一括方式で、障害児を育てる母親の就労支援について質問を行います。
我が国における女性の社会進出については、1986年(昭和61年)の男女雇用機会均等法の施行以来、徐々に人々の意識改革も進み、1975年(昭和50年)には25歳から29歳では41.4%と全体の半数以下だった女性の就業率は、36年後の2011年(平成23年)には72.8%と大きく上昇し、男女差は縮まりつつあります。そして、30年前では、夫婦のうち男性が主な働き手となる片働き世帯が主流であったのが、法律施行に合わせて徐々に共働きの世帯数が増加し、1997年(平成9年)には、ついに共働き世帯が片働き世帯数を上回ることとなり、その後も、共働き世帯数の上昇によって、その差は年々拡大傾向にあります。
実は、私が大学を卒業して東京の企業に就職いたしましたのは、この男女雇用機会均等法が施行される1年前、1985年(昭和60年)今から33年前のことでした。当時は「女性はクリスマスケーキ」、つまり25歳を過ぎたらもらい手が減るといった、現在であればセクハラで訴えられそうなことが当たり前のように言われており、女性は適齢期になったら結婚するもの、そして結婚したら仕事をやめて家庭に入り、家事や子育てをするものという風潮が主流であったかと思います。
しかし、時代は変わり、平成25年6月議会でも、女性の就業に関してM字カーブの推移について質問させていただきましたが、安倍政権は、女性の活躍を成長戦略の中核として捉え、働く女性の支援を表明。女性活躍社会の推進加速に向けて、ここ数年は特に社会全体が大きく変わりつつあることを実感します。
社会人となって働いている私の26歳の娘にしても、今や結婚したら仕事をやめるといった考えはまるでないものと思われ、結婚しても、子供を産み育てながら働き続けるというのが、若い人たちの間では当たり前の社会になってきたと言えるかと思います。
そんな中、少々以前の文献にはなりますが、2010年(平成22年)に、佛教大学の田中智子准教授が発表された論文「知的障害者のいる家族の貧困とその構造的把握」の中で、障害児の母親は一般女性に比べて就労が制限されており、最も就労率の高い40代女性でも就労者は半数にとどまることが明らかになっています。この調査報告では、どの年代においても、障害児の母親の就労率は、一般女性のそれに比べて低いことが明らかになりました。
また、この論文を含め、さまざまな文献をもとに、茨城キリスト教大学の江尻桂子氏、松澤明美氏らが、2013年(平成25年)に発表した論文「障害児を育てる家族における母親の就労の制約と経済的困難」の中で、母親の就労の可否による影響を与える要因として、放課後や休日、また、病気になった際の子供の預け先の問題、病院、療育機関への通院・通所の世話、家族の援助や職場を含む周囲の理解の不足、伝統的な性役割観などさまざまなものが上げられ、したがって、単一のアプローチではない複合的なアプローチが必要となってくるだろうということが考察されています。
本市においては、先人たちの尽力により、県内においても障害福祉の先進地としての呼び声が高く、昨年は、beyond2020に向けて、共生社会ホストタウンとして国の第一次認定を、全国6都市のうちの1つとして受けました。
障害当事者の就労支援についても、官民協働で就労支援ネットワークを立ち上げ、午前中に時田議員の御質問の中にもありましたが、市役所内に就労ワークステーションを設置するなど、さまざまな取り組みがなされているところではありますが、障害児を持つ親の就労については、今まで余り議論がされてこなかったのではないかと思うところです。
今後、本市で結婚、出産をされる女性の中には、ある程度の確率で障害児を授かる方がおられるかと思います。結婚したら家庭に入っていた私たちの年代とは違い、この方たちが、障害児を授かったことに起因して御自身のキャリアを諦めることがないように、専門的な資格を有しながらその資格が生かされないまま育児、療育に専念しなければならないような状況が起こらないように、市として最善の施策を講じるべきと考え、本市における障害児を育てる母親の就労支援について、以下の4点について質問させていただきます。
1、障害児を育てる母親の就労の実態。
2、保育所、幼稚園、学童保育での障害児の受け入れ状況。
3、障害児通所支援における利用状況。
4、現在と今後の取り組み。
以上です。御答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
田中議員の御質問にお答えします。
御質問の、障害児を育てる母親の就労支援について。
第1点、障害児を育てる母親の就労の実態、第2点、保育所、幼稚園、学童保育での障害児の受け入れ状況、第3点、障害児通所支援における利用状況についてのお尋ねですが、これらは関連がありますので、一括して答弁をさせていただきます。認定NPO法人フローレンスの調査によると、障害のある子供を育てる母親のフルタイムの就労率はわずか5%であり、障害のない子供を育てる場合に比べると約7分の1とされています。本市ではこれまでに、こうした実態調査は実施していませんが、一般的に母親の就労を難しくしているのは、リハビリや通院治療などのために頻繁に付き添いが必要であることや家族の協力が得られないこと、職場などで障害のある子供を育てる母親への理解が示されていないことなど多様な要因があると言われています。本市の障害福祉相談窓口や相談支援事業所などへは、送迎時間や付き添いの問題で働くことのできる時間帯や日数が制約されるため、退職しなければならない、希望どおりの就職ができないなどの相談が寄せられており、本市においても、障害のある子供を育てる母親の就労は、厳しい状況にあると考えています。こうした状況の中、母親が就労するためには、障害のある子供を日々安心して預けることができる保育所や学童保育、障害児通所支援サービスの利用が不可欠になっています。平成30年度の本市のこれらの利用状況は、保育所、幼稚園は117名、学童保育は94名であり、学童保育指導員などの支援者を追加して配置するなどして、受け入れをふやしています。また、障害児通所支援サービスの1つである放課後等デイサービスは、学童保育と同様に、放課後などに障害児を預けることができ、現在238名が利用しており、障害児通所支援サービス全体では303名がこれらのサービスを利用しています。
以上でございます。
◎久保田后子市長
第4点、現在と今後の取り組みについてのお尋ねです。
本市では、障害のある子供を育てる母親が、社会の一員として活躍できる社会の実現に向けて、保育所や障害児通所支援サービスなどを充実させてきており、その結果、10年前と比べると、現在の受け皿は約2.3倍になりました。また、相談支援や、宇部志立市民大学に共生社会学部を新設するなどして、市民の障害者理解の促進を図っているところです。しかしながら、女性の就労率が高まる中、本市における障害児を育てる母親の就労については、十分な実情が把握できていません。したがいまして、それらを把握するために、母親の現在の就労状況や今後の就労希望の有無、課題などを調査いたします。そして、この調査結果を踏まえて、うべスタートアップに併設されている多様な働き方確保支援センターなどと連携して、就労支援に取り組んでいきたいと考えています。また、障害児の居場所や送迎時間などの問題の解決に向けては、社会福祉法人などと連携しながら、障害者を地域で支える地域共生社会の仕組みづくりに取り組みます。引き続き、障害のある子供を育てる母親が、心身ともに健康に、生き生きと生活し、活躍できるまちづくりを進めていきます。
以上でございます。
◆田中文代
御答弁ありがとうございました。
御答弁いただいた中で、課題もいろいろ見えてきたかと思いますが、私、考えますに、働く母親への支援といたしましては、子供たちの受け入れ先のサービスの拡充ですね、そして職場での理解、働く場の環境整備、これが両面で必要ではないかと考えます。そこで、再質問の1点目でございますが、御答弁の中に、実情把握ということで母親の就労の実態調査をされるということでした。この調査は、具体的にどのように行われる予定でしょうか。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
母親の就労の実態調査を実施して課題の把握に取り組むということで、そのスケジュール、どのような形でということですが、これについては2018年度中に、障害のある子を育てている母親にアンケート調査を実施いたします。アンケートの内容ですが、現在の就労の有無、就労している場合は希望どおりの職種につけているか、今後の就労や転職の希望の有無、今後転職を希望する場合はその職種や働ける時間帯等、そういった内容を調査したいと考えているところです。
以上です。
◆田中文代
ありがとうございます。
今年度中ということで、余りもう時間はないかと思いますが、ぜひ詳細に調べていただきたいと思います。それと、できればアンケートの中に自由記載なども多く設けていただいて、生の声をぜひ聞き取っていただけたらなと思います。
私が今回の質問を思い立ちましたのは、あるお母さんとの立ち話からでした。年代的には、私より少し下のお子さんをお持ちの方ですけれども、第一子の20代半ばのお子さんが、身体的にも知的にも非常に重い障害をお持ちです。このお母さんは歯科衛生士会に所属されている歯科衛生士さんなのですけれども、現在は、ほかのお子さんの教育費のこともあって、パートで歯科衛生士とほかの仕事をかけ持ちして働いておられるそうです。歯科衛生士として、完全な復職の誘いを受けるけれども、障害のあるお子さんを預かっていただける施設、この時間帯の兼ね合いで完全な復職は難しいとおっしゃっていました。しかし、パートであっても、御自分の資格を生かした仕事をされることで、たとえフルタイムで働けない状況であっても、社会復帰の意義をとても強く感じられたそうです。お子さんの日々の介助だけではなく、自分自身に生きがいをもたらす──外に出て働くということはですね──そのことを非常に実感されたということでした。しかし、資格をフルに生かして完全に復職しようと思われますと、お子さんを今の通所のようなサービスではなくて施設入所させるしかない、それは家族のあり方としてどうなのか、そこまでは踏み切れないということもおっしゃっていました。こういったお母さんが、潜在的にかなりおられるのではないかと思われます。ぜひしっかりと実態を調査して、要望を吸い上げていただきたいと思います。
続きまして、保育所について再質問させていただきます。御答弁の中で、保育所等の受け皿が、この10年間で約2.3倍とあったと思いますが、この2.3倍という数字の根拠を教えていただけますか。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
保育所等の受け皿、この10年間で約2.3倍ということの、その根拠についてですが、障害のある子を預かっている保育所、幼稚園、学童保育及び障害児通所支援サービスの事業所数を、2008年の4月1日時点と2018年の4月1日時点で比較したものです。具体的に申しますと、保育所は16から19、幼稚園は9から11、学童保育は12から29、そして障害児通所支援は、2012年度に新たに新設された制度ですから、10年前にはなかったものが現在25あります。したがいまして、合計では37施設が84施設になったために2.3倍ということです。
以上です。
◆田中文代
ありがとうございました。
2.3倍ということで、一見しますとふえてはいるのですけれども、やはりお母さん方の生の声としてはまだまだ足りないと。いろいろと通所についてもかけ持ちで、1カ所の事業所だけでは受け入れてもらえない、かけ持ちで利用されている方も多いと思います。
御答弁の最初に、NPO法人フローレンスという名前が出てまいりましたが、御存じとは思いますけれども、このNPOフローレンスという団体は、全ての子供が保育を受けられ、保護者が働くことを選択できる社会を目指して、2014年に東京都杉並区に日本で初めての障害児保育園を開設されています。この保育園では、看護師、作業療法士、そして研修を受けた保育スタッフがチームを組んで、医療的ケアの必要なお子さんも8時から18時半まで長時間保育で預かっておられます。この杉並区の保育園開設以来、さらに首都圏で4園障害児保育園を開設されております。それだけ需要もあって専門職の雇用も進んでいるということです。本市におきましては、医療研究機関としても山口大学医学部がございます。また、保育士養成の場として宇部フロンティア大学短期大学部もあります。こういった機関と連携する形で、ぜひ本市にも障害児保育園開設ということを考えていただければと思います。もし民間でも、そういった機運が高まってきた場合には、ぜひ行政として後押しをしていただきたい、このことを強く要望させていただきます。
次の質問に移ります。先ほども少し述べましたけれども、通所支援の実情としては、かなりの方が事業所をかけ持ちでサービスを利用されております。この状態を打破するために、事業所の側だけでなく行政ができることとしてどのようなことが考えられるでしょうか。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
議員がおっしゃったとおり、事業所のかけ持ちをされている方もおられると、実態のほうは私どもも把握しておりますが、今後、受け皿として地域包括支援などのいろいろな地域共生社会の仕組みづくりを加速化して、そういった社会福祉法人の地域貢献であったり、ソーシャルビジネスとして障害のある子の居場所づくりを市がコーディネートできればと考えているところです。
以上です。
◆田中文代
ありがとうございます。
すぐにはどうこうという、本当に受け皿の問題ですのでうまくいかないかもしれませんが、ぜひ今おっしゃったような方向で進めていっていただけたらと思います。実際本当に、この通所サービス利用をされている方が、時間的な制約を受けて、送り迎えの時間もあってなかなか利用できないという方もいらっしゃいます。そういった声も、また、先ほどのアンケートの中でも吸い上げていただけたらと思います。
続いての質問に移ります。今後ますます、女性の就労が一般的になってきた場合、例えば母親が出張で家をあけなくてはならないような状況の場合、ほかに留守中の障害当事者のお世話を頼める方がおられない、そのような場合に、本市においては、短期入所、ショートステイというサービスが考えられます。が、このショートステイというサービスは、従前から受け皿不足が叫ばれており、いざというときのために施設にならしておこうと思って試しをしようと思っても、その試しも受けてもらえないという現実があります。この問題の背景をどのように捉えておられるでしょうか。また、改善策、どのようにお考えでしょうか。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
現在、市内にあるショートステイの施設は、5事業所ございます。ただ、その5事業所、1施設は受け入れ定員を10名としておりますが、ほかの施設については数名ということで把握しているところです。さらに、障害種別によって、受け入れできる施設が限定されているという状況も把握しております。特に障害、いろいろな状況、特徴がございますので、やはり利用者の急変や事故への対応が困難であるというような事業所側の声も把握しておりますし、特に幅広い市の中での御家庭への送迎体制、そういったところも十分にできていないということも考えております。また、初めて使う方に関しては、その相談をしっかりお聞きして、本当にどういう特性をお持ちで、それをどういうふうに支援したらいいかという、そういう相談、しっかりしたアセスメント、そして計画というようなところも課題の1つと考えているところです。
以上です。
◆田中文代
ありがとうございます。
このショートステイの利用ですね、障害の重い方ほど親御さんとしては、自分がいないときはどうなるのかという思いもあり、そして、預かられる施設のほうとしても、自分たちで大丈夫なのかという思いもあり、非常に難しい問題ではあるとは思うのですけれども、ただいま中野部長がおっしゃったように、アセスメントをしっかりして、個別に対応していただけるのが一番かなと思います。おっしゃるとおり、本当に障害の種別、また御本人の特性といいますか、性質によっても、いろいろケアの仕方も変わってまいりますので、そのあたり、アセスメントを重ねることで保護者の方との信頼関係も生まれると思いますので、お互いがちゅうちょし合わないような、そういう状況をぜひつくっていただけるように、事業所にもお願いしたいと思います。御答弁の中の数字で、学童保育の利用者が94名、そして、放課後等デイサービスは238名とあったかと思います。圧倒的に放課後等デイサービスの利用者さんのほうが多いわけですが、学童保育については、以前、障害児であることを理由に預かりを拒否されるケースがあったように聞いております。
行政としては、障害児受け入れについてどのような指針を示されているでしょうか。
◎こども・若者応援部長(上村浩司君)
障害児の受け入れについての指針ということでございますが、障害児の受け入れにつきましては、集団での保育が可能な限り、受け入れの対応をするように指導しているところでございます。具体的に、学童保育の事例で申し上げますと、まず、利用されるお子様の御家族を含めて面談を行いまして、その方の障害の状況、それから特性等を把握いたしまして、教育委員会のほうにも児童の適切な対応の仕方についてといったところを相談いたしまして、助言を受けた上で対応する指導員を配置しているところでございます。
以上でございます。
◆田中文代
ありがとうございます。
学童保育も学校と同じく、ある意味教育の場でもあるかと思いますので、そういった指導──本来は指導ではないとは思いますけれども──受け入れる側のしっかりした体制を整えていただければなと思います。研修については、以前も御質問させていただきましたけれども、されているとは思いますけれども、今本当に発達障害、それから知的、身体といろいろ障害がございますけれども、それぞれに対応できる指導員の方の養成が叫ばれているのではないかなと思います。そして、何よりもやはり、子供にとっては子供の中で時間をともにするということが、一番刺激もあり、いい環境ではないかなと思いますので、できる限り受け入れていただきたい、そのための受け皿も整えていただきたいというふうに思います。
続きまして、障害者のサービスという点ではなくて、母親の就労そのものの支援について御質問させていただきたいと思いますが、本市が仕事と家庭の両立を支援するとうたって、平成26年6月に開設いたしましたウィメンズワークナビ、現在は中央町にオープンいたしました「産業共創イノベーションセンター 志」、通称ジョブスタですかね、こちらに併設されているそうですが、こういった障害を持つ母親の就労支援の問題には対応しておられますでしょうか。
◎総合戦略局長(安平幸治君)
お答えいたします。
多様な働き方支援センターでは、子育て中の女性を初めとして、高齢者、障害のある方などの多様な相談に対して、ワンストップでその就労相談のサービスを行っております。実際に今までも、1人の障害を持たれた母親から相談があり、現在も継続して相談を受け付けているところでございます。
以上でございます。
◆田中文代
ありがとうございます。
そういった相談も受けていただいているということで安心いたしました。
今回の質問の準備をしておりました今週月曜日、12月3日の日経新聞朝刊に、「女性73%出産後も仕事」という見出しの記事がありました。厚生労働省が、2012年に20歳から29歳だった男女の結婚や就業などの動向を追跡調査しているものの結果を発表したもので、出産した後も働く女性は、10年前の世代では57.0%だったものが、2017年時点で73.7%になったとの調査結果です。つまり、女性のほぼ4分の3が、結婚して出産しても働き続けているということで、昨今の保育園、保育士不足もさもありなんという数字なわけですが、この記事の中で、「出産後も同じ仕事を続ける女性の割合は、職場の状況が大きく影響」との一文がありました。記事によれば、「育休が利用しやすい」と答えた女性では84.1%が職場復帰したのに対し、「利用しにくい雰囲気がある」では64.5%にとどまり、残りの35.5%は転職や離職をしていたそうです。この転職、離職の数字は、産まれてきた子が障害児であった場合にはなおさらであろうと想像され、事実、私が今回の質問のために聞き取りをしたお母さんの1人も、障害児が家族にいるからといって職場で優遇してもらえるわけではないと嘆いておられました。市として、今後の職場の理解ある環境づくりへの具体策、何か考えておられないでしょうか。
◎健康福祉部長〔福祉事務所長〕(中野加代子君)
市では、女性が働く職場の環境整備の具体策として、宇部市女性活躍推進企業認証制度や宇部市女性職場環境改善助成金の制度を設けておりまして、育児による退職者の再雇用や短時間勤務、フレックスタイムの導入などを支援しております。
また、障害のある子供を育てる母親の就労支援については、やはり職場の障害者への理解が必要であることから、障害者理解講座の講師謝礼を助成し、職場での障害者理解の促進に取り組んでいるところです。
以上です。
◎田中文代
ありがとうございます。
まだまだ企業の中に、こういったお母さんの存在というのがまだ知られていない可能性もあります。ぜひ、しっかり周知していただきたいと思います。
今回、質問の準備のために聞き取りを行ったあるお母さん、私と同年代ぐらいで教師としてずっと働いておられる方ですけれども、この方は、お子さんが利用されている通所サービス、ここの親の会に初めて参加されたとき、自分の上の年代のお母さん方が誰も働いた経験がなかった、そのことにびっくりされたそうです。恐らく結婚したら家庭に入るのが当たり前、まして障害児を育てながら働くなんて考えられない、そういった年代の方が多かったのだと思いますが、そういった中、道を開いてこられた、働き続けてこられたお母さん方に深い敬意を表したいと思います。
冒頭で述べましたように、時代は大きく変わっております。平成元年に生まれた女性も今もう30歳。これから仕事においても子育てにおいても、ますます充実が期待される年代です。仕事をするということには、本来、生活のための収入を得るという第一義がありますが、本市においては、障害のある子供たちを育てる母親たちが、それだけではない、御自身の能力を生かし、キャリアを精いっぱい伸ばし、社会の一員として生き生きと働いて納税する、その意義をしっかり重視していただいて、そのためのサポートに行政としてしっかり取り組んでいただきたい、そのことを強く要望いたしまして私の全ての質問を終わります。
ありがとうございました。