平成24年(2012年) 6月定例会

平成24年6月12日(火)
1. 中山間地域との交流促進について


田中文代の発言は、背景を青色で表示しています。

◆田中文代

 新風会の田中文代でございます。午後一番の登壇となりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 本市は南北に長い地形を持ち、山側の北部と呼ばれる厚東、二俣瀬、小野の3校区、それと平成16年に合併いたしました旧楠町の船木、万倉、吉部の3校区、あわせて6つを総称して中山間部、あるいは中山間地域と呼んでおります。これらの地域は本年4月1日の統計において、宇部市全体の平均が26.4%である高齢者率が軒並み35%を超えており、特に旧楠町地区においては、平成17年以降、高齢者比率が国、県、市全体の比率を大きく上回り、住民の約3人に1人が65歳以上という高齢社会を迎えております。世帯数においても、本年4月末において市内24校区のうち1,000軒未満の校区が5校区ありますが、この5つの校区は、先ほど挙げた中山間地域6校区のうちの船木を除く全てとなっております。新規の定住者がふえない限りは過疎化が進んでいくのは必然の減少ですが、私は今回、この中山間部のあり方、市の進めるべき施策について質問をさせていただきたく思います。

 私は、昨年、市議会議員選挙に臨みました際、自分が議員となって取り組みたい課題の4つのうちの1つとして、中山間部との交流を通じた市全域の活性化ということを掲げました。

 2年前、小野湖上流の美祢市美東町真名地区に産業廃棄物処分場建設の計画が持ち上がった際、私たち市民の水道水源である小野湖の環境保全ということで、小野湖の水を守る会というグループが発足し、私も発足当時からそのメンバーに加わった一人です。その当時、産廃処分場建設のための用地買収の話が、業者から小野地区の地主さんたちにも持ちかけられる可能性があり、会の代表者の方が土地を売らないでほしいということをお願いしに現地に赴いた際、現地の方から、あなたたちは普段はこのあたりのことに何の関心もないくせに、いざ何か自分たちにかかわる問題が起こるとなると、のこのこやってくるのかという厳しい言葉をいただいたということです。会ではこの言葉を重く受けとめ、普段から顔の見える交流をということで、現在は現地の土地を借り受けて水田や畑をつくり、小野に足を運ぶ市民、特に子供たちの数をふやす努力をしています。私は、この会の活動を通じて、小野湖とその周辺の豊かな自然に触れ、アクトビレッジという比較的新しい施設はあるものの、なかなか市民にとっては距離感のある現地の現状を非常にもったいなく思ってきました。

 また、本市のうべふるさとツーリズム事業をNPO法人うべネットワークが受託した、うべ探検倶楽部の初期のスタッフとして、実際の市民参加型の観光プログラムづくりにかかわった際、旧楠町である吉部、万倉地区を訪れ、ここでも観光資源として埋もれている地域の宝の数々に触れ、こういう場所を市民が気軽に訪れる機会が少ないことをとても残念に思いました。

 中山間部との交流を通じた市全域の活性化という自分に課した課題は、これらの経験から思いとして生まれたもので、まち側の人間にとっては、ともすれば遠いし、行っても何もないという印象になりがちな中山間地域を、もっと市民全体が自分たちの生活に身近な地域としてとらえてもらい、もっと人、物、お金が市内で回りやすい仕組みづくりができないものかということを考えたものです。

 しかし、実際には、豊かな自然、魅力あふれる中山間地域というのは、私のような外からの人間が勝手に思うだけの話であって、現地の方たちにとっては、中山間地域は日々の生活の場であり、まちのほうの人間と交流するといってもなかなか現実味が薄く、それによって自分たちの地域にどういう効果がもたらされるのかというビジョンも描きにくいのではないかと思われます。また、交流を進める上で、地域の現状についていろいろリサーチをすればするほど、複雑な要因が深いところで絡み合っている実態が如実に浮かび上がってまいりまして、農業の歴史的な産業構造、少子高齢化、公共交通、教育、医療などの種々の要因に対してのある一面からの対症的な施策では、長期にわたる解決の方法にはなり得ないこともわかってきました。農林振興の問題についても、今までも何人もの先輩議員の方々が質問の中で取り上げておられますが、振興の担い手となる後継者が不足しているという抜本的な問題については、まだまだ包括的な施策が追いついていないのが現実だろうかと思われます。

 問題は大きく深く、ともすれば思考停止に陥って問題をどんどんと先送りし続ける状態に陥りそうにもなりますが、しかし、今現在、自分たちの地域の再生に取り組もうと立ち上がり、地域の方たちを巻き込みながら、地域を繕う活動を続けておられる現地の方たちが確かに存在しておられることは心強いことです。行政としては、こういった地道に活動を続ける方たちがおこしてくださった地域おこしの種火を、じっくりと少しずつ燃え広がらせていくための尽力を決して怠ってはならないと考えます。

 先ほども申し上げましたように、課題解決に向けては、何本もの糸が複雑に絡まったような状態を少しずつ解きほどいていくような作業が必要です。今回の質問だけでは数々の要因のすべてを網羅することはかないませんので、今回は本市が温めている中山間部振興のビジョンについて、今後の施策のための確認ということで質問させていただきたく思います。

 平成22年12月に宇部市が作成した宇部市過疎地域自立促進計画には、地域の自立促進のための基本的な施策として産業の振興、医療の確保、生活交通の確保等と並んで地域間交流の促進という項目があり、そこにはこう記載されています。
 地域間交流を促進するため、地域内の住民が主体的に取り組み、手作り感を出すと同時に、地域外からの参加が見込まれるイベントを開催することにより、地域のイメージアップを図ります。

 また、豊かな自然環境や文化・歴史をセールスポイントに、都市部との交流を促進し定住につなげます。

 この過疎地域自立促進計画につきましては、過疎地域の認定を受けた旧楠町地域を実施対象とした計画ではありますが、楠以外の3校区についても現状は似通っていると思われますので、今後の本市の中山間地域振興行政の1つの指標としてお伺いいたします。

 計画は平成23年4月1日から平成28年3月31日までの5カ年計画となっていますが、5年のうちの1年が経過した現在の進捗状況、また、今後打つべき具体策をどのように考えておられるのか、お答えいただければと思います。

 以上をもちまして、私の壇上での質問を終わります。

◎久保田后子市長
 田中議員の御質問にお答えをいたします。

 御質問、中山間地域との交流促進についてのお尋ねですが、中山間地域は食料の生産・供給を初め、水源の涵養、森林による大気の浄化などの自然環境の保全や保水機能による土壌の保全、美しい景観の形成など、多面的で公益的な機能を有しており、地域住民だけでなく、市民全体で守っていかなければならない地域であると強く認識をしています。

 宇部市過疎地域自立促進計画は、合併前に、いわゆる過疎法の適用を受けていた楠地域を対象に策定をしたものです。したがいまして、この計画において、お示しいただきましたように、地域間交流の促進として都市部との交流促進を掲げています。この中で、楠地域の豊かな自然の活用と地域の特性を踏まえて、自然や文化、農産物などの地域資源を活用するなどして地域間相互の交流を促し、地域外の人たちが中山間地域への理解を深め、中山間地域を支えるきっかけづくりとしています。また、地域の人々が誇りと愛着を持ち、地域一体となって持続可能な地域づくりに取り組めるような施策を展開しています。

 それでは、平成23年が計画初年度となる現在の宇部市過疎地域自立促進計画に係る昨年度の具体的な交流促進や、定住に関する事業の実施状況について説明をいたします。

 まず、うべふるさとツーリズム創出事業であるうべ探検博覧会の一つとして、公募の民間団体によりまして、都市と農村をつなぐグリーンツーリズムを開催いたしました。また、同事業によって、地域活性や交流促進に向けた人材育成を目的とするうべまるごと元気塾を開催し、中山間地域等の資源の発掘、体験プログラムづくり、6次産業化の検討などを行いました。

 次に、くすのき元気フェスタやくすのきカントリーマラソンでは、企画や運営に工夫を凝らして実施したことによって、多数の方が参加し、交流の輪が広がりました。

 そのほか、吉部地区では、平成19年度に県の中山間モデル事業地区に選定をされて、吉部の夢プランを策定いたしました。そして、平成21年度からは、市として、地元の地域おこし団体である夢ゆめクラブ吉部の郷に対して継続的に活動支援を行ってきているところです。

 集落の維持・活性化に向けては、平成23年度から、公募で選定した集落支援員2名を楠総合支所に配置し、市の若手職員グループとも連携して、地域の魅力づくりや地域資源の発掘をしているところです。そのような中、地域の方と一緒に取り組んだ成果として、昨年、第13回全国米・食味分析鑑定コンクール国際大会において、吉部産米が特別優秀賞を受賞いたしました。

 次に、定住促進としては、吉部住宅団地の分譲促進に積極的に取り組み、昨年度は2区画を、累計すると26区画を分譲し、定住人口については見込みも含めて75人となったところです。

 なお、これまでに交流促進を目的とした拠点づくりとしては、市北部地域との連携も踏まえた楠こもれびの郷、さらに、平成25年春には、(仮称)ふるさと学習館のオープンを予定しています。

 今後も、中山間地域との交流促進については、地域内外の交流と連携を通じて、地域間の共生が図られて、多くの人が参加をしたくなる魅力あるイベントの開催や地域資源に磨きをかけてブランド化を図り、広く認知されるように情報発信を強化していきます。また、中山間地域の活性化に向けては、交流促進以外にも農林業の振興や担い手の育成、生活基盤の整備など、さまざまな課題がありますので、公民連携や部局間連携を図るなどして、積極的に中山間地域づくりに取り組んでいきます。

 以上で、私の壇上での答弁を終わります。

◆田中文代
 御答弁ありがとうございました。

 それでは、自席より再質問、意見、要望等をさせていただきたいと思います。

 中山間地域について、「地域住民だけでなく、市民全体で守っていかなければならない地域であると強く認識をしています。」という市長から力強いお言葉をいただきました。この認識を根幹として、現在の具体的な施策がなされているもの、また、今後新たに始まっていくものと理解いたしましたところでございます。

 それではまず、再質問の1点目でございますが、御答弁の中で、宇部市過疎地域自立促進計画に係る昨年度の事業の実施状況の中で、うべまるごと元気塾の開催が挙げられておりましたが、これについては、地域活性や交流促進に向けた人材育成を目的とすると先ほど御説明がありましたが、ここに参加された方たちの中で、実際に中山間地域の住民の方で参加された方はどのくらいおられたのでしょうか。また、6次産業化の検討が行われたとのことですが、何か具体策のようなものが出てきたのでしょうか。お答えいただければと思います。

◎末次宣正産業経済部長
 田中議員の御質問にお答えいたします。

 お尋ねのうべまるごと元気塾は、ふるさとツーリズムの開発、基礎整備としてこれからの地域活性化のために、見つけるとして資源を発掘するであるとか、育てるということで人材を育てるであるとか、つくるということではプログラムをつくる、これが今おっしゃった6次化につながるというようなものを講座の中で展開していったわけですが、お尋ねの楠地域からは3名の参加がございました。

 また、今おっしゃった6次化に向けた検討ということがございましたが、まず講座は平成23年8月から12月にかけて17回の講座を実施したのですが、その中では、6次産業がまず何であるかとか、6次産業を立ち上げるためにはどうしたらいいかというような座学から、フィールドワークというようなものをこなしました。また、その中では、今ある資源で事業を起こしていくといったようなところから宇部の魅力を発掘するであるとか、農山漁村の潜在力を学ぶといったようなこと、こういったテーマによって資源開発の仕方とか方法を学んでいただきました。また、6次化に向けては、食と地域の交流促進対策プラン、こういったことによりまして、講座に参加した方に具体的な実現可能プランというところをつくるまでを学んでいただいたところでございます。

 以上です。

◆田中文代
 ありがとうございました。

 ただいま、資源開発についてのお答えをいただきましたけれども、今回、現地の方々からのお話を聞く中で、1つ気になりましたことがございました。現地の農家の方々が産直市場などに農作物を出される際に、地域の中でお互いにより安い値段をつけて安物競争が生まれてしまうというような状況があるということでした。その結果、市場の曜日によっては、一般のお客さんではなくて業者が全部を買い占めて持っていってしまうというようなことも起こっているようでございます。こういう状況では6次産業というのはなかなか育ちにくいのではないかと懸念するところです。農家の方に欲がないと言ってしまえばそれまでなのですが、農作物にせよ何にせよ、自分のつくった物にはこれだけの価値がある、値打ちがあるという自尊心が育たない限りは、商品のブランド化は難しいのではないかと考えます。もし農家の方に、今、実際にそれが難しいというのであれば、市のブランド戦略として、何らかのコンセプトを準備するというのも一つの手段ではないかと思います。

 御答弁の中に、昨年、吉部産米が全国のコンクールにおいて特別優秀賞を受賞したという喜ばしいニュースがありましたが、おいしいお米も従来の流通経路に乗せてしまえばほかのお米と混ぜて売られてしまうということで、結果としては、せっかくのブランドも生産者としてのプライドも育たないことも考えられます。従来の流通経路に乗せてしまえば、つくった物は確実に買い取っていただけるということで、手間が省けるということで、生産者としては安心で楽ということはわかります。が、将来のブランド化を見据えて農家の方たちに相対される職員の方たちの御苦労は大変だとは思います、ジレンマもおありだとは思いますが、ぜひ地域の方たちとともに新たな道筋を探っていっていただければと思います。

 続きまして、同じく昨年度の計画の実施状況に関して、くすのき元気フェスタやくすのきカントリーマラソンを、企画や運営に工夫を凝らして実施したという御答弁がありましたが、昨年11月に開催されましたくすのき元気フェスタについては、従来、講演会などの文化的な要素の濃いイベントであったくすのき芸文フェスタをリニューアルして、お祭り色を高めて、年齢によらず一般市民が広く参画・交流するイベントとして開催されたということだと思います。が、ことし3月に開催の第8回目、8年目を迎えましたくすのきカントリーマラソンについては、どのような新しい部分があったのでしょうか。教えていただければと思います。

◎西田隆総合政策部長
 お答えします。

 第8回の大会、たまたま、これは東日本大震災の発生からちょうど1年ということもありまして、チャリティーゼッケンの販売、復興支援ラーメンの販売など被災地復興の支援活動に取り組みました。また、より魅力ある大会とするために、野外彫刻展50周年記念となりました第24回UBEビエンナーレの開催にあわせまして、楠地区で初めて彫刻を恒久設置するとともに、彫刻模型展示会を開催しました。また、インターネットを使用した動画配信によりまして、全国に向けて情報発信を行ったところであります。

 以上です。

◆田中文代
 ありがとうございました。

 被災者支援であるとかUBEビエンナーレの関連であるとか、新しい試みがあったということでございます。このイベントに関しましては、マラソン終了後の楠こもれびの郷での入浴も、参加者にとっては人気の1つと聞いております。今後も市外からの参加者の拡大に向けて、現地の地域資源のPRに努めていただきたいと思いますし、重ねて意見を申し述べさせていただきますが、市長の御答弁の中にもグリーンツーリズムという言葉が出てまいりましたが、観光にしても、このようなイベントにしても、今後の地域振興、拡大のための大きな要素として、宿泊施設の整備ということが考えられるのではないでしょうか。現地には外からやってくる人たちのための宿泊施設が少なく、このマラソンに参加されるために前泊される方については、恐らく宇部市街や山陽小野田市の宿泊施設を利用されているものと思われます。グリーンツーリズムの場合は農家民泊が可能かということは大きな要素になるとは思いますけれども、いずれにせよ、宿泊できる場所さえ確保できれば、もっと市の内外から多くの人が気軽に現地を訪れることができるようになるのではないかと考えます。また、これらのイベントについては、来年もまた規模を大きくして開催されることと思いますので、よろしくお願いいたします。

 続きまして、昨年度から活動されている集落支援員についてお尋ねいたします。現在、楠総合支所に2名を配置され、地域の魅力づくりや地域資源の発掘をされておるとのことですが、具体的な活動内容、また、昨年からの配置ということで活動期間としてはまだ短いとは思いますが、これまでの活動の中から生まれた成果のようなものがありましたら、お答えいただければと思います。

◎西田隆総合政策部長
 お答えします。

 市長が壇上で申し上げましたように、集落支援員は、集落の巡回、点検、地域活動への協力、地域資源の掘り起こし、地域活性化に向けた取り組みを住民の方々や市の関係課の職員と協力して取り組んでおります。

 集落の巡回、点検については、平成23年度は吉部地区、平成24年度からは小野地区へ活動範囲を広げております。

 地域活動の協力につきましては、さまざまな地域の行事へ参加するほか、地元の地域おこし団体である夢ゆめクラブ吉部の郷などの活動支援を行っているところです。

 地域資源の掘り起こし、地域活性化に向けた取り組みにつきましては、吉部産米のブランド化を進めております。また、吉部の藤ケ瀬地区においては、集落点検を通じて、こうご石や龍岩など昔から言い伝えられてきた地域資源を地元の住民の方とともに発掘いたしまして、看板設置などの周辺整備を行うとともに、グリーンツーリズムを実施いたしました。

 以上です。

◆田中文代
 ありがとうございました。

 この集落支援員お二人の現場に対する意欲、働きぶりには目覚ましいものがあると私も見聞きしているところでございます。この集落支援員の職務については、1年ごとの更新で最長3年までの雇用ということも聞いておりますが、今後、雇用のあり方についても市としてしっかり検討していただきたいと思います。

 ちなみに、このお二人が集落支援員活動記「おいでませ宇部の山里へ」というブログを発信しておられるのを西田部長はごらんになったこと、おありでしょうか。

◎西田隆総合政策部長
 ブログ、見せていただいております。

◆田中文代
 ありがとうございます。

 ぜひ多くの皆さんにこのブログをごらんになっていただければと思います。集落支援員として活動される中でのバックヤード的な部分も含めまして、現地の魅力と現地の方々との交流の様子が、その都度、写真とともにつぶさにレポートされております。今後、シティーセールスの観点からもこういう情報発信は重要と考えますので、行政としてどこまで関与するのかという問題があろうかとは思いますが、よく御検討の上、こういう現場からの情報発信も市のホームページにリンクをさせるなどして、活路を与えていただければとお願いいたします。

 続きまして、御答弁にありましたように、平成19年度に県の中山間モデル事業地区に選定された際に吉部の夢プランというものが策定されたわけですが、同年3月に本市の都市計画課が発行いたしました宇部市都市計画マスタープラン(楠地区)の中にも、この吉部の夢プランに深くリンクする内容があると思われますのでお尋ねしたいと思います。

 このマスタープランの中に、まちづくりの課題として、1番に宇部地域との一体感の醸成、交流・連携の強化ということが上げられております。今回、楠の現地の方とお話をする中でお聞きしたことなのですけれども、合併してよくなったという実感はない、むしろ母体が広くなって、昔からの地域の一体感や親密感が薄まってしまったような感覚があるという御意見がありました。こういう感覚は、合併された地域には多かれ少なかれ必ずついて回るもので、時間の力によって解決するところも大きいかもしれませんが、市としては、この旧楠町との一体感の醸成について、現在どのような段階にあるとお考えでしょうか。

◎西田隆総合政策部長
 お答えします。

 現在の宇部市都市計画マスタープランですが、従来の計画に楠地域を加えまして平成19年3月に策定したものでありまして、地域間の交流と連携を進めるなどして、まちづくりに取り組むこととしております。市長が壇上で申し上げましたように、同様の方向性で、宇部市過疎地域自立促進計画にも地域間交流の促進に向けた事業を盛り込んで実施しているところであります。

 以上です。

◆田中文代
 ありがとうございます。漠然とした質問でなかなかお答えにくかったかと思いますが、ありがとうございました。

 平成16年の合併以来、はや7年が経過しているわけですが、一度アンケートのような形で現状認識をするのも、一体感の醸成について市民みんなで考えるいい機会になるかもしれません。マスタープランの進捗状況を確認する意味でも、一度検討されてみてはいかがかと思います。

 続きまして、御答弁の中で最後に上げられた中山間地域の活性化に向けての課題の1つについて質問させていただきます。

 市長は、中山間地域の活性化に向けては、交流促進以外にも生活基盤の整備などのさまざまな課題があるということをおっしゃっておられましたが、私がここで気になるのは、特に生活基盤の一部としての公共交通の部分です。今回、現地の方たちからお話を聞く中で、自分たちの地域では90歳を超えて車を運転している者が何人かいるということをお聞きして、大変驚きました。実際にはお達者でお元気なので車の運転も可能なのだとは思いますが、この方たちがいよいよ運転できなくなったときの生活はどうなるのだろうかという不安が起こりました。市では、既に中山間地域のデマンド交通の運行を始めておられますが、利用の実態については余り芳しくないと聞いております。今後、この中山間地域においてどのように公共交通についての施策を進めていかれるつもりなのか、お考えをお聞かせいただければと思います。

 また、バス交通を考えるとき、必ずついて回るのが、現状では市民にとっては利便性が低いという問題なのですが、例えば中山間地域の一拠点でもあるアクトビレッジおのには、バス停すらありません。必然的に、車を運転しない人にとっては遠い場所となってしまっております。今後、地域間交流を促進していくに当たって、何か方策をお考えであればお聞かせください。

◎西田隆総合政策部長
 お答えします。

 中山間地域の生活交通の利用促進につきましては、地域の御理解と御協力が重要だと認識しています。そのため、地域代表で構成される生活交通懇話会を開催いたしまして、運行内容などについて協議を行っているところであります。また、パンフレットの配布や地域ごとの時刻表を各戸配布するなどして、地域住民を対象に試乗会あるいは説明会を開催して利用の促進を図っているところであります。

 以上です。

◆田中文代
 ありがとうございました。どこまで市民ニーズに応えていけるのか、現状の運営体制では難しいことは重々承知しておりますが、引き続き、どんな小さなことからでもいいので、何か新しい方策がありましたら市民に提示していっていただければと思います。

 最後に、吉部の夢プランについてでございますが、このプランは、人でにぎわう夢、将来を見すえた夢、地域資源から生まれる夢、健やかな吉部っ子を育てる夢という4つの夢プランについてそれぞれに年次計画をつくり、できることからぼちぼち進めていこうということで、計画については重枝議員も参加されている夢ゆめクラブ吉部の郷の皆さんが、市の市民活動課などと共同する形で実施に当たっておられます。先日、交通局のバスツアーが組まれる形で、2回にわたって行われました吉部ほたるまつりもこの夢プランの具現化の一つです。

 この夢プランの中の将来を見すえた夢の中に、若い世代の家族を集める仕組みというものがありますが、この点について、吉部地区に限らず中山間地域全域あるいは宇部市全体について共通することかとも思いますので、意見を述べさせていただきます。

 今回、中山間地域の実情を調べるに当たり、ある市職員の方から明治大学で農業経済学を専門とされている小田切徳美教授の講演録を資料としていただきました。講演の中身としては、中山間地域の再生とはどういうことなのか、地域に暮らす人々の真の幸福感とはどんなところから生まれるのか、新たなコミュニティー活動に向けての提言などが盛り込まれているものです。その中で、小田切教授が、中山間地域の再生についての奥深い問題点に、ある段階で気がつかれたということを語っておられます。地域の再生を阻むもの、それは人の空洞化でも土地の空洞化でもなく、実は住民の誇りの空洞化だということにあるとき気がつかれたのだそうです。その地域に住み続ける、そのことを誇りに思うことがなかなかできない。あるいは、もっと端的に言ってしまえば、自分の子供にこの地域に住み続けてくれということが胸を張って言えない。子供は一たんは都会に出るかもしれないけれど、定年になる前に、最近では35歳ぐらいのときに地域に戻るか戻らないか大きな節目がある。しかし、実際には、どうだ、そろそろ戻ってこないかということが言えない気持ちがある。とすれば、それはまさに誇りの空洞化というものだということです。

 中山間地域が抱えるさまざまな問題は、実は人口密度的にこの誇りの空洞化が顕著にあらわれていることに起因しているのではないかと思われます。そういう中で、それではこれからどうやって地域としての誇りを取り戻して、魅力ある地域の再生を目指していくのか。私は、地域間の交流促進ということが一つの鍵になってくると考えます。外からの目で自分たちの地域を見てもらったとき、どのように見えるのか。自分たちが胸を張れる部分は何なのか。今まで気づかなかった地元の新しい魅力が見つかることもあるかと思います。夢ゆめクラブ吉部の郷のような地域再生の地道な取り組みが、このことを理解した市職員の方たちとの協働で進められていることに、私は希望を感じております。夢プランの中の若い世代の家族を集める仕組み、これは3.11以降の従来の暮らし方の尺度を考え直すところからも始まってくるように考えます。中山間地域の活性化については、市長が御答弁でもおっしゃられたとおり、さまざまな側面があり、公民連携や部局間連携が絶対に必要です。今回は観念的な部分に終始してしまいましたが、今後はまたそれぞれの側面について掘り下げて、自分なりに課題として取り組んでまいりたいと思います。

 以上で、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。

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