平成23年(2011年) 9月定例会

平成23年9月7日(水)
1. 特別支援教育について


田中文代の発言は、背景を青色で表示しています。
また、議事録中○○の部分は、登壇後、発言取消申出書の提出により、議事録から削除された部分です。

◆田中文代
皆様、おはようございます。新風会の田中文代でございます。○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○今回、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○一般質問の内容に移らせていただきます前に、それに深く関連することでもありますので、この機会に少し時間をいただきまして、私自身の思いについて述べさせていただきたいと思います。

 私が4月の市議会議員選挙の際に自身が市政に目指すものとして掲げた2つの柱は、市民の声が届く身近な議会と障害福祉のサポートネットワークづくりというものでございまして、今回の質問はこの2点目の障害福祉のサポートネットワークづくりに深く根ざしているものです。

 障害福祉の問題は自分には関係ないしと多くの方は思われるかもしれませんが、障害というものは確率の問題で、だれにでも起こり得ることです。それを受け入れ、生活していくには、本人や家族にさまざまな困難も伴ってまいります。しかし、実際のところ自分の身近にそういうことが起こらない限り、なかなか人々がそれを実感することは難しいものです。

 私は、ここ7年ほど障害福祉関係のNPO法人の事務局として、夏休み中、障害のあるお子さんをお預かりする学童保育のお手伝いをしております。長期休暇中、普段は学校に行っている障害児、特に重度の自閉症のお子さんが1日家にいるとなると、保護者の方々の御苦労は大変なものです。

 健常児のお子さんなら、夏休みともなれば、友達と外で遊び回って夢のように楽しい毎日となるわけですが、重度の障害のあるお子さんの場合、言語による他者とのコミュニケーションは極めて難しく、そういう遊びに交わるということはありませんし、校区の子供会などの活動に入られているケースもまずありません。ほとんどのお子さんが1日家にこもっておられるような状態になり、食事や排泄の介助が必要なお子さんも多くおられます。そういうお子さんたちを終日の学童保育としてお預かりする、私どものこの取り組みが始まった当初、自分の子は親が見るのが当たり前、何でそれをボランティアがやらなければならないのだという御意見をいただいたこともあったそうですが、私はそういう方にはぜひ一度ボランティアとしてこの活動に御参加いただいて、この子たちと何時間かでも一緒に過ごしてみていただいて、この子たちの保護者の方たちの日常を知ってくださいと言いたいです。私にしてもただのボランティアですから、この子たちと一緒に過ごすのはほんの数日のことです。ずっと毎日を一緒に生活されておられる家族の方たちの思いのほんの何分の一かをかいま見ることしかできません。

 私自身には3人子供がおり、長男はダウン症で知的障害があります。ダウン症という障害は個々によって程度の差はありますが、自分で歩けますし、不十分ながら言葉もしゃべれますので、さまざまな障害の種類にあっては比較的軽い障害と私自身は受けとめております。

 17年前にこの子を授かって以来、私は自分自身が日々の生活の中で障害福祉という分野に深くかかわることになったわけですが、市内の産婦人科でこの子を出産し、1カ月後に山口大学医学部附属病院でダウン症との診断名がつくと同時に、心臓に重篤な疾患を抱えていることがわかり、生後6カ月で心臓手術を終えた後、私たちは夫の仕事の関係で彼が1歳にならないうちにドイツに渡りました。そこで彼は幼少時代の8年間を過ごしましたので、私は日本の福祉行政の実情を知る前に、かの地で福祉行政にかかわるさまざまな実体験をすることになりました。

 自分の身内として障害児を授かる、そのことにショックを感じない人は恐らくいないと思います。私も夫も私たちの両親、兄弟、そして程度の差はあれ、親戚にもその波紋は及びました。息子が生まれてドイツに立つまでの9カ月間、私は渦中にあって心情的には常に不安でした。山大医学部附属病院が近くにあるのは医療の面で本当にありがたいことでしたが、これからのこの子の教育や成人してからの生活を思うと、自分たち一家はこれからどうなっていくのだろうと、将来的な展望が開けないまま、重い荷物を背負ったような気持ちでのドイツ行きでした。

 しかし、ドイツに行ってみると言葉の壁こそありましたが、そこは私たちにとってとても生活しやすい場所でした。息子の障害児としての届け出を役所に終えると、関係機関からさまざまな支援の手が差し伸べられ、私は母としてその流れに乗るだけでよかったのです。幼稚園への入園、小学校への就学にしても、準備の段階から選択についてのさまざまな情報と体験の場が与えられ、身体訓練、言語訓練、作業療法などの行政を離れた部分での支援についても、子供の発達段階に応じての情報が提供されました。何よりも私たちにとってありがたかったことは、一見して障害児であることがわかる我が子に、ちまたの市民の方たちが実に温かく接してくれたことです。子供に対しても、母である私に対しても、人々は生活の中で言葉でも、行動でも、大丈夫だというメッセージをいつもくれました。医療、病育、教育、社会訓練、就労などの障害児を取り巻く特有分野のみならず、社会全体が私たちを支えてくれている、そういう体験をした後、2003年、9年前に日本、この宇部に私たちは帰ってまいりました。

 日本に戻ってきて、子育てをする日々の生活の中で、障害福祉に関するボランティア活動をする中で、さまざまな壁にぶつかり、さまざまなもどかしさを感じる中で、私は安心して障害児・者が生活、成長するためには行政が明確な方向を示し、官民協働で独自のサポートネットワークを構築することが必要であると考えるようになりました。

 障害児を授かるという事実に対するショックは重くても、その後の生活に対する不安は日本とドイツでは格段に違うということを自分自身が体験し、その理由は何かと考えたときに、社会全体が支える仕組み、そのシステムづくりが必要であり、そのために何とか自分の経験を生かしたいと考えました。その地域の歴史、宗教などの社会通念、また大きな要素として財政力というものも含めて、その地域の行政施策がなされてきていることから、今、この宇部の町ですぐにといっても難しいものがありますが、市議という立場を得ることによって、いろいろな課題に向けて解決のための具体策の可能性が広がるのではないかと考えました。これが、私が4月の市議選に挑戦した大きな理由の1つです。

 先ほども少し触れましたが、障害福祉の問題は当事者にとどまりません。なぜなら、その町の社会全体のあり方が問われているからです。私は事あるごとに口にしてまいりましたが、障害者にとって住みやすい町、暮らしやすい町こそが健常者にとっても住みやすい町にほかなりません。6月議会で質問させていただいたバス事業にしても、障害者にとって安心して利用しやすい状況にあれば、一般市民にとっても十分満足できる状況にあるといえます。障害ということを一つの切り口としたときに、暮らしやすい町への具体案、施策がどんどん見えてまいります。それを実現するかしないかは、自分たちのこれからの努力にかかっていると考えております。

 前置きが長くなりましたが、今回の質問の趣旨に移らせていただきたいと思います。

 障害者を取り巻く環境は、平成17年の障害者自立支援法の成立、翌年10月からの本格施行、その後に吹き出た問題点を受けての平成21年3月の改正法律案提出、その数カ月後には民主党・社会民主党・国民新党の連立政権が誕生して法律自体が廃案となり、同年12月には内閣に障がい者制度改革推進本部を設置して、1年が経過した昨年12月に、同本部での協議を踏まえて、障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案、通称障害者自立支援法改正案が成立したところでございます。

 今の経緯をお聞きいただいてもおわかりのように、国の施策は猫の目のように変わる実情ですので、地方行政も当事者である障害者やその家族、また社会福祉施設などの関係機関も、それに振り回され続けているというのが現状であろうかと思われます。障害者自立支援法は、成立当時、障害者の福祉サービス利用料増大の部分が大きく取り上げられ、天下の悪法の異名を取りましたが、私個人は改善すべき点は多いものの、今までの障害者イコール弱者という図式のもとに行われてきたばらまき型の福祉施策を意識の部分から覆す、障害者の人権と可能性に光を当てた新しい法律として評価しております。

 さて、先ほど社会全体が障害者を支えていくためのシステムづくりをということを申し上げましたが、その中で大きなウエートを占めていると思われるのが教育の問題です。平成19年障害者自立支援法に続いて、学校教育法の中での特別支援教育の位置づけも大きく変わり、県内では以前養護学校、聾学校、盲学校と呼ばれていた学校群が、障害の種類別での住み分けが統合され、総合支援学校という形態に移行いたしました。

 本市の特別支援教育の歴史といたしましては、昭和50年代に既に岬小学校、神原中学校が市の特殊教育の拠点校として位置づけられ、平成15年には他市に先駆けて校内特別支援教育コーディネーターを校務分掌に位置づけるなど、先進的な取り組みがなされてきたことは周知の事実でございます。私も宇部に帰ってきて9年になりますが、特別支援教育にかかわっておられる教師の中でも、多くの有志の方が学校以外の場において、例えばことし創立10周年を迎えました宇部市障害者ケア協議会などの任意団体にも積極的に参加され、子供たちの将来のために熱意と努力を惜しまれない働きをされておられることに深く感謝と敬意を表するものであります。

 本市の特別支援教育につきましては、昨年3月の定例議会においても、青木晴子議員が障害児・者を取り巻く環境整備という観点から御質問をされておりますが、その後、昨年4月より教育委員会の中にワンストップの総合相談窓口として、特別支援教育の専門部署である特別支援教育推進室が設置されたこともあり、1年余りが経過してその後の成果について確認させていただく意味もあり、今後のより一層の教育現場の充実を期する意味も含めまして、特別支援教育について3点ほど質問させていただければと思います。

 質問の第1点は、学びの創造推進事業についてです。

 宇部市教育委員会では本年度の学校教育推進のための指針といたしまして、教育基本方針として「心身ともに健康な人間の育成」、重点目標として「子どもの学びと育ちを保障する教育の推進」ということを掲げておられます。そして、学校を豊かな人間関係を育む学び合いの場とするよう、教育委員会の主な取り組みの第1番目として学びの創造推進事業の拡充ということを上げておられます。7月26日に常盤公園湖水ホールで開催されました県の移動教育委員会におきましても、この学びの創造推進事業につきまして、宇部市教育委員会学校教育課のほうから、先生もともに学び、成長しあう学校づくりということで事例発表があり、市内の学校ではこの取り組みが着実に進んできているものと思われます。

 そこで質問でございますが、本年5月1日付の段階で市内24小学校、13中学校のうち、万倉小学校、厚東中学校、小野中学校を除くすべての小中学校に知的障害、自閉症、情緒障害、肢体不自由、難聴などの子供たちのための特別支援学級のいずれかが、または各種複数の形で設置されておりますが、この特別支援学級の生徒、先生たちについてもこの学びの創造推進事業の一環に含まれ、その取り組みがなされているという認識でよろしいでしょうか。ともすれば特別支援学級だけがこの市教委の方針から置いてけぼりにされているのではないかということが懸念され、質問するものでございます。

 質問の第2点は、障害児の早期発見、早期対応ということです。

 昨年3月の青木晴子議員の御質問の中にも、軽度発達障害の早期発見、早期支援に向けての取り組みということがあり、そのことは文科省のモデル事業としての5歳児健診などについての御回答がありましたが、早期発見については何らかの取り組みが進んできているものとして、早期対応についてはどうなのか、現状についてお伺いするものであります。現在、全国的な問題として発達障害というひとつの障害が取り上げられてきておりますが、この発達障害という障害の中には、外見上では非常にわかりにくく、当事者は知能が高い、いわゆる高機能と呼ばれる性質であることも多いことから、周囲がコミュニケーションの困難さからその障害に気づいていても、当事者の親がその事実を受容することが難しく、結局身近な理解がなく、誤った対応が続けられていくうちに2次障害を引き起こしてしまうというケースが多々あります。2次障害が起こってしまっているケースと申しますのは、本人と周りとの信頼関係がすっかり崩れてしまっている状態ですので、そこからの回復には大変な労力と時間が必要とされます。

 子供の発達のおくれについては、小学校に就学前の時点で保健師さんあるいは幼稚園・保育園の先生方が気づかれるケースがほとんどと思われますが、その後の対応について関係機関の連携はとれているのかなど、支援についてのシステムの整備が進んでいるのか、実情をお伺いしたいと思います。

 質問の3点目は、通級指導教室の拡充についてです。

 通級による指導とは、小中学校の通常の学級に在籍している比較的軽度の障害がある児童生徒に対して、各教科等の指導は主として通常の学級で行いつつ、個々の障害の程度に応じた特別の指導を特別の指導の場、いわゆる通級指導教室で行う教育形態のことです。

 現在、市内の小学校では、岬小学校、新川小学校、東岐波小学校の3校、中学校では神原中学校1校にこの通級指導教室が設置され、担当の教員につきましては2校を兼務する者もいると聞いておりますが、現場の状況としてこの教室、そして教員の配置状況は適正なのでしょうか。教員についてはただ数をふやせばいいという問題ではないことは、特別支援教育のみならず一般の教育現場も同様であり、児童生徒の親にとっては自分の子の担任がだれかというのはいつも大きな問題になります。むやみに数がふえるよりは、より指導力の高い、指導能力の高い、教育センスを持った人材を現場は求めており、現在その職についておられる方は皆さんその資質をお持ちの方とは思いますが、複数の生徒を相手にする以上、やはりキャパシティーというものがあります。現状の人員配置で十分なのでしょうか。

 また、通級指導教室への通級につきましては児童通級、つまり神原小学校の生徒が神原小学校にある通級指導教室へ通うといったケースでない場合、原則保護者が送り迎えをすることになります。小学校では3校あった通級指導教室が中学校では市内中央部に1校しかないという現状では、自転車通学が可能な児童ならともかく、保護者の方の送迎にかかわる負担は大きく、その通級の困難さから中学校においては通級をあきらめ、その結果、小学校時代に通級指導教室の先生方とこつこつと積み上げられてきた学習の成果が崩れてしまうのではないかと不安に思うところであります。今後、教室の設置数をふやしていくなど、先ほどの人員数の問題ともあわせまして、拡充についての御意見をお伺いしたいと思います。
 以上の3点の質問をもちまして、私の壇上の発言を終わります。御答弁のほどどうぞよろしくお願いいたします。

◎白石千代教育長
田中議員の御質問にお答えいたします。

 御質問、特別支援教育について。

 第1点、学びの創造推進事業の中の特別支援教育の位置づけについてのお尋ねですが、本市では平成20年度から学びの創造推進事業に取り組み、子供の学びと育ちを保障する教育の推進を教育基本方針の重点目標の1つに掲げ、心身ともに健康な人間の育成に取り組んでいます。

 学びの創造推進事業では、すべての子供が授業に参加し、ともに学び合うことを目指しており、通常の学級や特別支援学級にかかわらず、子供たちが主体となり、かかわり合う授業づくりに取り組んでいます。

 学び合いのある授業で、わからないときや困ったときに友達に尋ね、それに答え合い、学んでいくことが子供たちの学習における自立にもつながります。また、小グループでの学習において、教員は子供と子供をつなぎ、学び合わせることで、一斉指導では学びが成立しにくかった通常の学級に在籍する発達障害等のある子供や、交流学習を行っている特別支援学級の子供の学びも保障することができます。

 さらに、学び合いを通して相手の立場に立ち、相手を思いやる心が育つことから、障害のあるなしにかかわらず、お互いを尊重し合い、共生していく姿勢を身につけることもできます。このように、学びの創造推進事業に取り組むことは、将来の自立に向けた教育を行う特別支援教育の推進にもつながると考えています。

 第2点、早期発見、早期対応のシステムづくりについてのお尋ねですが、平成22年度から教育委員会と市健康福祉部が連携し、市内のすべての幼稚園や保育園を対象として年2回の巡回訪問を実施しています。この巡回訪問により、発達障害等のある子供の早期発見を行い、必要に応じて療育機関や就学相談につながるよう、幼稚園・保育園と保健師等が連携して保護者に働きかけを行う取り組みを実施しています。また、平成22年度まで5歳児発達相談会を実施してきた実績を生かして、平成23年度からはすべての5歳児を対象に、発達問診票を使用した5歳児健康診査を実施することとしています。

 この診査を通じて、保護者に対して発達障害の気づきを促すと同時に、診査の結果をもとに、保健師が中心となり各関係機関と連携して発達障害児の早期発見、早期対応をするシステムを確立したところです。今後もさまざまな取り組みを有機的に結びつけながら、早期発見、早期対応に取り組んでいきます。

 第3点、通級指導教室の拡充についてのお尋ねですが、通級指導教室は、お示しいただいたように、通常の学級に在籍する言語障害や発達障害等のある児童生徒の障害の改善・克服を行うための特別な指導の場であります。本市では従来から岬小学校に通級指導教室を設置していましたが、平成21年度に新川小学校、東岐波小学校、神原中学校に新設し、通級指導教室の拡充を図りました。小学校の通級指導教室においては、対象の児童が少ない新川小学校には神原中学校と兼務の教員を配置し、岬小学校と東岐波小学校には専任の教員を配置することにより、指導が必要な児童への対応ができています。さらに西部・北部地域の指導が必要な児童の利便性を高めるため、平成23年度から厚南小学校に通級指導教室を開設することを県に要望しましたが、教員の配置が認められなかったことから、設置することができませんでした。

 中学校の通級指導教室においては、小学校の段階で障害が改善・克服され、指導が終了した生徒がいることや、部活動の関係等で通級指導を望まない生徒もおり、通級による指導のニーズが小学校より少ないのが現状です。平成23年度1学期末現在の通級生徒は2人となっています。

 このような現状と国における通級指導担当教員の増員が極めて厳しい状況から、中学校については、当面神原中学校の通級指導教室で市内すべての対象生徒を受け入れることとします。

 本市では、小学校の通級指導教室の新設に向けて、引き続き県に強く要望していくとともに、通級指導教室での専門的な指導の充実のため、さらに担当教員の資質向上に努めていきます。

 以上でございます。

◆田中文代
ありがとうございました。それでは自席から再質問と要望を行わせていただきたいと思います。

 まず、質問の第1点目でございます、学びの創造推進事業の中の特別支援教育の位置づけについてでございますが、通常の学級や特別支援学級にかかわらず取り組んでいるというお答えをいただきましたので、今後もこの取り組みを引き続き行っていただくよう期待しております。

 学びの創造推進事業につきましては、東京大学大学院教育学研究科の佐藤学先生を講師にお呼びして、各学校での実践に向けての検証を開催されていると伺っておりますが、先ほども申し上げましたように、教師の方々のセンスによりまして授業の導き方にもいろいろと違いが出てくるものと思われますので、まだ始まったばかりとは思いますが、きちんと検証を続けていかれるとともに、同じ学校の中で特別支援教育への認識の違いが生まれないように、引き続き御指導をお願いいたします。

 また、学びの創造推進事業の中には学び合いというキーワードがございます。特別支援学級の生徒から教師が学ぶこともたくさんあると思われますので、校内での教師間の交流をぜひ盛んにしていただきたく、校内コーディネーターの職にある方にはぜひ、その部分を助ける任務を担っていただきたいと要望いたします。

 続きまして、質問の2点目でございますが、早期発見、早期対応のシステムについてということで、これについては2点ほど再質問させていただきたいと思います。

 まず、1点目でございますが、本年度から5歳児健康診査を実施されるとのことでしたが、その具体的な内容について教えていただけますでしょうか。

◎落合孝雄健康福祉部長(福祉事務所長)

お答えします。

 今年度から新たに実施する5歳児健康診査については、具体的な手順といたしましては、まず、市内の幼稚園、保育園及び保育施設に在籍する5歳児全員を対象として、発達に関する設問を記載した発達問診票を保護者に配付し、園を通じて回答の提出を依頼いたします。同時に子供の在籍する園の担当者にも同様の問診票の記入を依頼いたしますので、保健センターにおいて双方の気づきを総合的に精査、調整した上で結果について保護者に通知を行います。

 その中で特に発達に関して気になる兆候のある子供については、保健師が中心となって個別に保護者へ連絡を行い、状況に応じて小児科での専門的な診察や臨床心理士などによる発達相談会へつなげるなど、継続した支援を行ってまいります。

 実施時期につきましては、本年9月1日から既に問診票の配付を始めており、10月には結果通知を行う予定としているところでございます。今後もこのスケジュールに沿って事業を実施いたします。

 以上でございます。

◆田中文代
ありがとうございます。

 障害が早期に発見されまして、その診断が下されるところまで進んだとしましても、その後の支援の体制がなければ何の意味もなく、保護者にとってはただつらいだけです。これは、私自身がここ数年市と民間が共同で行っております発達障害児を支えるネットワーク協議会という集まりに参加し、その会の活動の中で、保護者の方や教育現場の方たちのインタビューを通じまして、痛切に感じているところです。

 社会全体の障害というものに対するまなざしがすぐには変わっていかない以上、保護者や親族が障害を受容するということは困難なのはいたし方ないことなのかもしれません。しかし、子供たちはそういう周囲の不安定な状況においても、自分なりの成長を続けております。関係機関は、親子双方を支える方でベクトルをあわせていただいて、連携をとっていくべきと考えます。

 そのために、障害児のための切れ目ない支援に役立てるためのツールとして、市では新しくパーソナル手帳というもの作成しておられると思いますが、この利用状況はいかがでしょうか。

◎落合孝雄健康福祉部長(福祉事務所長)

お答えします。

 平成23年4月に本市が独自に作成したパーソナル手帳については、発達障害児の保護者や発達障害者などを対象として、保護者や支援機関などが発達障害児・者などの乳幼児から成人期にわたっての発達の様子を記入するものでございます。

 コミュニケーションや生活の様子などの障害に関する情報などを手帳にまとめることにより、転居、就学、進学、就職などの生活環境が変化するときに、支援機関などへの情報伝達をスムーズに行うことができるものでございます。

 手帳の7月末までの配付の実績を申し上げますと、就学前の児童には30冊、小学生に56冊、中学生に12冊、高校生に10冊、それ以外の方に29冊、そして学校などの関係機関に179冊となっております。

 以上でございます。

◆田中文代
ありがとうございました。

 今の数をお聞きします限り、まだまだ全体的な認知・活用はこれからのような感じがございますが、今後、この手帳が「これさえあれば、私がいついなくなっても大丈夫」と保護者が信頼できるような状態になるまで、当事者、そして関係機関への周知を続けていっていただきたいと思います。

 特に医療機関におきましては、この手帳の中に記述をお願いする件につきまして、本人、当事者支援のための重要な記録の集積となるかと思われますので、保護者の方からの記述の依頼があった際に、お医者さんが「一体これ、何ですか」といったことにならないように、医師会等を通じまして十分な周知をお願いいたします。

 先ほども特別支援教育にかかわる先生方のたゆまない御尽力について触れさせていただきましたが、折しもこの秋から、本市におきましてはぷれジョブの取り組みが始まろうとしております。このぷれジョブという取り組みは、岡山県に端を発しました障害児の可能性を最大限に引き出すための取り組みでございまして、何らかの障害のあるお子さんが小学校5年生から高校3年生までの8年間、週に1回1時間程度、1企業6カ月間の職場体験を地域で続けるという取り組みでございます。ぷれジョブの目的は単なる職業体験ではありません。ぷれジョブを体験することによって、子供たちは仕事の一つ一つに大きな意味があること、人の役に立つことが大きな喜びになること、すてきな人に出会うと自分の世界が大きく広がること、自分がいることを喜んでくれる人がいることなどを学んでいきます。また、地域の企業を回ることによって、地域の市民としてお互いを受け入れ、認め合う風土が育ってまいります。まだ試験段階ではありますが、今後市内でこのような取り組みに御賛同、御協力いただける企業が1社でもふえていきますように、切に願っております。

 また、こういう取り組みが広がれば、将来の我が子の自立へ向けて、障害児を育てる親の姿勢も随分変わってくるように思いますし、先ほどのパーソナル手帳の活用の範囲もさらに広がってくるものと考えております。
 第3点目の通級指導教室の拡充についてでございますが、御答弁では、残念ながら本年度厚南小学校への開設を県に要望したが、設置がかなわなかったとのことでございました。恐らく県に要望を出される段階で、特別支援教育推進室のスタッフの方は相当な調査と御準備をされたかと思いますが、今回はかなわなかったとのことですが、ぜひあきらめずに粘り強く、本市で育ち行く子供たちのために、県に要望を出し続けていただくようにお願いいたします。

 これは、先ほども申し上げました発達障害児を支えるネットワーク協議会の活動の中で見えてきたことでございますが、現在は一般学級の中に情緒的に不安定な障害とその中間のグレーゾーンにある子供たちが数多く在籍し、特別支援学級の担任に当たるよりも通常学級の担任に当たるほうが、その負担は重いという現状があるようでございます。こういう先生方の負担を減らし、個別に指導を要する子供たちによりよい形で効果的な学習が期待できるのが通級指導教室の存在ということになります。一見、特定の児童生徒にだけ手厚いように思える通級指導教室の拡充ですが、実はその子たちのために場所を確保することによって、通常学級の担任の方に余裕が生まれ、本来の通常学級の子供たちへの指導がより手厚く充実したものになるということでございます。

 健常児であれ、そういった特別な支援を必要とする子であれ、できるだけ低学年のうちに手厚い指導をすることで、その子の将来は大きく変わってまいります。今後ともさらなる教育体制の整備をお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

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