令和4年(2022年) 6月定例会

令和4年6月14日(火曜日)
運動部活動の地域移行について


田中文代の発言は、背景を青色で表示しています。

◆田中文代

初回一括方式にて、運動部活動の地域移行について質問いたします。
 先日5月31日、スポーツ庁主幹で有識者による運動部活動の地域移行に関する検討会議の最終回が開催され、その模様がユーチューブでリアルタイムに配信されました。全国でこの問題に関心を寄せる260名を超える方々が視聴され、私もその一人でした。
 この最終会議をもって政府への提言がまとめられることとなり、先日6月6日に、スポーツ庁が正式に運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言を公表。この提言には、「少子化の中、将来にわたり子供たちがスポーツに親しめる機会の確保に向けて」というタイトルがつけられており、現在の中学校の運動部活動を取り巻く状況を前段として示した上で、今後、中学校の運動部活動については、まず休日の部分から地域の各種団体にその運営を委ねるという方向性が明言されています。
 会議の中で示されていたスケジュールによれば、令和5年から令和7年までの3年間を移行期間とし、令和8年度からは、従来私たちが頭の中に思い描いていたような運動部活動は、中学校に存在しなくなることとなります。
 この部活動の地域移行の問題は、中学校教職員、中学校体育連盟、野球やサッカー、バスケットボールなどの各競技団体、そして現在の中学生やこれから中学校に上がる子供たち、また、その保護者たちという現場で水際にいる関係者のみならず、地域移行という大きな命題を抱えている以上、市民一人一人が我が事として捉える必要があり、前回、前々回の議会質問で触れてきた自治会や地域組織の運営の在り方とも大きくリンクしてくる問題であると考えます。そこで、これから本市が部活動の地域移行に関して、どのような姿勢で臨み、どのような準備を進めていくのか、しっかり共通認識していきたいとの考えから、今回質問させていただくことといたしました。
 まず、1点目は、これまで当たり前のように存在してきた中学校の部活動の教育的意義について、どのように認識しておられるか、お尋ねいたします。
 私が中学生だったのは、もう半世紀近く前のことですが、3年間の中学校生活の中で、一番先輩や後輩との思い出が多いのが部活動の時間です。そして、私だけではなく、教科の先生よりも部活の顧問の先生のほうがより印象に残っているという、そういう成人の方も多いのではないでしょうか。思春期の子供にとって学校生活の一部である部活の時間というのは、かなり大きなウエートを占めるものであったと考えるわけですが、これまで中学校の中で部活の時間を確保してこられたその教育的背景、意義について確認しておきたいと思います。
 2点目は、そうはいっても今後地域移行を進めていかざるを得ない、その必然性について御説明をお願いいたします。
 スポーツ庁の検討会議では、中学校教職員の働き方改革を進めないと、現場はもうもたないというお話も出ました。本市として、地域移行を進める背景に何があるのか、どういった必然性があるのか、具体的にお示しいただければと思います。
 3点目は、これからの地域移行に向けて、どのように準備をしていかれるのか、具体的に幾つかの項目についてお伺いしたいと思います。
 1つ目は、まず、スケジュールです。令和8年の地域移行に向けて、どのようなタイムスケジュールを組んでおられるのか。会議だけをして、机上の議論だけでは現場の状況は何も変わりませんので、具体的な進め方について、現段階のもので結構ですので、教えていただければと思います。特に、移行期間に中学校生活を送る生徒さんたちや保護者の方々にとっては、取り戻せない時間を過ごすわけですから、ある程度イメージできるものを事前に示す必要があろうかと思います。
 2つ目は、現状として地域移行について考えられる本市の課題についてです。
 中学校の部活の状況は、生徒数の違いもあり、市内の中でもかなり異なります。地域移行について受皿をどうするのか、具体的にはどの施設を使い、指導員は確保できるのか、運営のための資金は足りるのか等、スポーツ庁の検討会議の中でも様々に意見が出ておりましたが、前回の議会質問でも取り上げさせていただいたように、地域役員の高齢化、なり手不足等地域で受皿をつくるといってもかなりハードルが高い地域もあろうかと思います。本市独自の地域移行の道を探る必要があるかと思いますが、まずは考え得る課題について、共通認識のためにお示しいただければと思います。
 3つ目は、学校の部活動指導を離れた後の子供たちのスポーツとの関わりの在り方について、本市が目指すビジョンについて教えていただきたいと思います。
 検討会議の中では、部活動から地域のスポーツクラブ等に移行することによって、家庭の貧富の差からスポーツ体験の有無に差異が生じるのではないかといった御意見も出ていました。中学校の3年間は国が定める義務教育の期間です。この間、体育ではなく、スポーツを学校から離れて体験することの意義についてどのように考えているのか、教職員の働き方改革といった大人の都合ではなく、子供たちを中心に置いて、今回の地域移行により子供たちの成長をどのように期待しておられるのか、考えをお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、最初の質問を終わります。よろしくお願いいたします。

◎教育長(野口政吾君)

御質問、運動部活動の地域移行について、第1点、部活動の教育的意義についてですが、議員さんもお示しになられたように、6月6日にスポーツ庁が、運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言を公表し、令和7年度末を目途に、休日の運動部活動を地域に移行することが示されました。
 生徒の自発的・自主的な活動として行われている部活動は、学校教育の一環として、中学校教育において重要な役割を果たしてきました。部活動には、異年齢との交流の中で、生徒同士や教師と生徒等の人間関係の構築を図ることや生徒自身が活動を通して自己肯定感を高めるなどの教育的意義があります。
 また、参加している生徒の意欲の向上や問題行動の発生を抑制するなどの効果もあります。
 さらに、学校の一体感や愛校心の醸成にも大きく貢献してきました。
 本市の生徒においても、部活動での取組を教員や友達に認められることにより、意欲的に学習に取り組む姿や前向きな態度で学校生活を送る姿が数多く見られています。
 また、コミュニティ・スクールの活動の一環として、部活動単位で地域の清掃活動等に取り組む中学校も多く、連帯感の醸成や地域を愛する心の育成にもつながっています。
 第2点、地域移行の必然性についてですが、本市においては、平成14年度に約5,000人在籍していた中学校の生徒数は、令和4年度には約3,700人となっており、20年間で約1,300人減少したことになります。
 今後も生徒数の継続的な減少が見込まれることから、幾つかの部活動は、廃部や休部、活動の縮小を余儀なくされることが想定されます。
 このことにより、生徒にとっては参加したい部活動がなくなることや、少ない部員数で活動が低調となり、部活動に魅力を感じられない状況が生じることなどが考えられます。
 また、《生徒数の減少は部員の減少にもつながる》(《 》は46ページで訂正)ことから、学校において働き方改革が求められる状況の中で、教員が指導する現状の形で部活動を維持していくことは、極めて困難になるものと考えられます。
 このような状況が全国的にも見込まれる中、今後も子供たちがスポーツに親しめる機会を確保するために、このたび、休日の運動部活動を地域に移行する提言が示されたものと認識しています。
 第3点、今後に向けて、ア、スケジュール、イ、本市の課題、ウ、子供たちの成長のビジョンについてですが、これらは関連がありますので、一括して答弁をさせていただきます。
 運動部活動の地域移行については、これまでスポーツ庁の検討会議で審議が進められ、県教育委員会を通して各市町に情報提供されてきました。これを受けて、宇部市教育委員会においても、地域移行に向けた検討を進めてきたところです。
 令和4年6月6日、スポーツ庁が運動部活動の地域移行に関する検討会議の提言を公表し、令和7年度末を目途に、休日の運動部活動を地域に移行することが示されました。
 このため、本市では、宇部市体育協会、スポーツコミッション、総合型地域スポーツクラブ、スポーツ少年団、大学、プロスポーツチーム等、関係団体の代表者を委員として構成する地域移行のための協議会を令和4年7月に設置する予定です。
 協議会では、大学や地元企業などと連携した指導者の確保や地域の団体と連携した組織や体制の整備、スポーツ活動の会費の保護者負担等、本市の地域移行上の課題などについて協議を進める予定です。
 協議と並行して、10月には生徒や保護者、教員に対してアンケートを実施し、部活動の現状や課題、地域移行に対する意見などを把握することにしています。
 国が示したスケジュールでは、令和5年度以降の3年度間で段階的に地域移行の取組を進め、その間の取組の成果や課題を検証した上で、令和8年度には全中学校において、休日の部活動の地域移行が図られていることになっており、本市においても、国のスケジュールに準じて取組を進めていきたいと考えています。
 部活動の地域移行により、生徒は様々な指導者や幅広い世代と関わりながら、自らの興味や関心に応じて、スポーツに親しむ機会を今まで以上に確保できると考えており、教育委員会では、今後、国の動向も踏まえた上でこの取組を積極的に進め、地域と共創しながら、生徒の望ましい成長を支えていきます。
 以上でございます。

◆田中文代

ありがとうございました。それでは、再質問、要望等させていただきたいと思います。
 スポーツ庁が示す提言に沿って地域移行を円滑に進めていくには、まず、先ほどお示しいただきましたけれども、その必然性をみんなで共通認識するところから始まると考えております。
 御答弁では、この20年間で生徒数が1,300人減少しており、今後も継続的にこの減少が見込まれるとのことでした。実際にこの20年間の部活動の廃部や休部の状況について、数値をお示しいただきたいのですが、5年刻みくらいで結構ですので、具体的な状況を教えてください。

◎教育長(野口政吾君)

20年間ということでございましたが、ちょっと明確な、正確な数字が確認できませんでしたので、ここ5年間ということで御理解いただければと思います。
 平成28年度、5年前と比較すると、この5年間で廃部・休部になった部活動は4部あります。具体的には、野球、柔道、水泳、卓球ということです。
 それから、複数の部活動を統合して1つの部活動になった、これは女子ソフトテニスが男女合同になったというのが1部あります。
 以上でございます。

◆田中文代

平成28年からの5年間の状況ということですか。これだけ見ると、どういうふうに減少しているのかというのは、ちょっと具体的には分からないですね。
 今後、廃部・休部になりそうな学校というのはあるのでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

これは、今後の部活動の参加生徒数の希望にもよると思いますけれども、例えば集団競技ですね、集団スポーツにおいて部活動が成立しにくいと。統合というか、ほかの中学校と一緒になってチームを編成したというのが、ここ二、三年でも2チームありますので、今後、生徒数が減少すると、やはりそのような形も出てくるのではないかと思われます。
 以上でございます。

◆田中文代

お答えいただきましたように、野球やサッカーなどの団体競技は、生徒数が少ないとチームが組めないという状況が発生するわけですが、現に、今、楠中学校と厚東川中学校では、それぞれ単独で野球部が組めないということで、合同でチームを組んでいらっしゃると聞いております。実態は、なかなか今のお答えではちょっと分かりにくかったのですが、現実問題として、今後、団体競技においてはチーム数が減ってきて、今まで行っていたような市内の大会には参加できなくなる学校が増えてくるという認識でよろしいのでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

そのような認識を持っております。
 以上でございます。

◆田中文代

そうしますと、今後、これからの話なのですが、地域移行によってできたクラブチームによる大会参加ということも考えられるかと思いますが、そうなった場合に、例えば市をまたいでできたチームが県の大会に出場するとか、そういった可能性も考えられるのでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

現在、中体連において、いろいろなパターンを想定して、市内の連合チームもあるでしょうし、もしかしたら市をまたいで、市や町で連合のチームも考えられますので、そのあたりは、今、検討が始まっているというふうに聞いております。

◆田中文代

分かりました。
 では、次の質問に移ります。今回の部活動の地域移行については、背景に少子化だけではなくて、教員の働き方改革という大きな問題を抱えているわけですが、実際に中学校の教育現場では、部活動に関してどんな問題が起きているのか、運動部活動の廃部や休部につながる原因をどのように、教職員の側から分析しておられるか、これも地域移行の必然性をみんなで共有するために、ぜひ教えていただきたいと思います。

◎教育長(野口政吾君)

教員の働き方改革と部活動の関連ということですが、あくまでこの改革は生徒、議員さんもおっしゃっておられましたけれども、子供たち、生徒中心の改革であります。
 ただ、教員の働き方改革も当然関係しているということで、今、宇部市内の学校で起こっている幾つかの現象でいうと、やはり一番は、この部活動の指導は、当然平日の放課後、そして土日──ただし、教員は、土日は勤務日ではないのです。
 勤務日ではないのに部活動の活動を強いられる。土日に、例えば介護がある、それから平日の放課後、子育てがある、そういう教員にとっては、なかなか子育てや介護に専念したくても、部活動があるから少し時間が取りにくいということもあると。
 ですから、このような点も含めて、働き方改革を進めるということも、部活動改革の中では、今から進めていかなければいけないのではないかと考えているところです。
 以上でございます。

◆田中文代

そうですね、これまで教員の中から、そういった大変なのだという声が、恐らくずっとあったのだとは思うのですけれども、それが近年になって、やはり働き方改革ということが叫ばれて、今まではそれが当たり前と思っていたけれども、実はこれはおかしいのではないかということで、大きな流れになってきたということではないかと思います。
 ただし、教員の方の中には、部活動がもう楽しくて、それがやりたくて教員になったというような方もいらっしゃるとは思いますので、また今後、アンケートの中でいろいろな御意見拾われるとは思いますけれども、いろいろな考えがあって今までの部活動があったということで、また次にどういった道を探るのか、しっかり考えていただきたいと思います。
 この教員の働き方改革の部分です、この部分を保護者の皆さんだけでなく、地域全体でしっかり理解する必要があると思います。それで、これから少子化になって、子供も減り、学校も働き方改革を進めますと、これからこういうことになりますということが分かっているのであれば、もうそれに備えるしかない、これはもう必然のことです。
 今の時代、若い人たちは社会人として働くのに、生涯同じ職場で働き続けると考えている人はごくまれです。よりよい自己実現を目指して転職は当たり前、会社勤めだけではなく、教育現場にいる教員の方たちも同様です。30年前、私たちが育った昭和の時代の価値観を押しつけても、もうどうなるものでもありませんので、ここはしっかり教員の方々が、本来の授業改善であるとか、本来の教員としての仕事に専念できるように、環境を整える必要があろうかと思いますし、このままでは本当に疲弊して情熱を失った教員の方に、毎日接する子供たちがかわいそうだということを、ぜひ皆さんで分かっていただきたいなと思います。
 今回の提言は、休日の運動部活動については、地域移行の方向ということですが、まず、現段階ではうまくイメージできない方も多いのではないかと思います。単純に考えて、平日は顧問の先生が指導されて、土日の大会参加については、別の指導者が引率して指揮を執るといったことも、なかなかその生徒たちにとっても現実的ではないように思います。
 先進的な地区、例えばスポーツ庁が作成されている、ユーチューブにアップされているつくば市のある中学校の動画では、平日のうち1日は、施設はそのまま学校の運動場や体育館を使っておりますが、学校の部活動ではなくて、他団体のクラブに参加するという形を取って、地元の大学生などとその競技種目について、専門性を持ったコーチについて指導をしていただく、そういった様子が紹介されていました。
 休日の部分が地域移行するのであれば、平日の部分も何らかの形で変わっていかざるを得ないというふうに考えますが、具体的には平日の運動部活動の在り方はどのように変わるのか、何かお考えはおありでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

提言では、まずは休日の部活動の地域移行、そして、その進捗状況、成果や課題を検証しながら、平日の移行も進めていきたいということでございます。
 市の教育委員会としても、その方向でというふうには思っていますが、やはりこの部活動改革は、もう半世紀以上続いてきた中学校の大きな仕組みを、大改善・大改革する大きな取組ですので、議員さん言われましたように、休日は地域の指導者が見て、平日は教員が見るという、これやはり少し中途半端だと思いますので、なかなかハードルも高いし、時間もかかるとは思いますけれども、私は、全て完全に地域移行を目指していきたいと考えております。ただ、これは、時間がかかると思います。
 以上でございます。

◆田中文代

教育長としての決意をお伺いできました。本来、そのように進んでいくべきだと私も考えております。本当に現場いろいろお考えあるかとは思いますけれども、子供たちのことを考えれば、将来的にはそれが望ましい形であろうというふうに感じております。
 続きまして、御答弁の中で、今後、7月に設置される地域移行のための協議会の構成員の御紹介がありましたが、高等学校の関係者が見当たりませんでした。従前より中学校の部活動は、高校進学の際の進路選択についても深く関わってきたと思いますが、協議会に高校の関係者がいない、その理由は何でしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

先ほど、本答弁で協議会の構成員として、体育協会やスポーツコミッションや総合型地域クラブ、スポ少、大学等、御紹介さしあげました。
 ただ、これもまだ正式な決定ではありませんで、当然、その中には、それ以外にも高校関係者とかクラブチーム、民間事業者、またフィットネスクラブ等の関係者を入れることも考えられます。
 これは、今からそれぞれ検討していきたいと思っていますが、当然高校は中学校と同じ学校での部活動をやっておりますので、また指導者の派遣という点でも、構成員に入っていただくことも検討していきたいと考えておりますが、実は山口県では、先行地域として周南市と防府市が協議会をつくっているのですけれども、そのどちらにも高校関係者が入っていないのです。ですから、その理由もちょっと明確にまだつかめておりませんので、そのあたりもしっかり把握して検討しながら、高校関係者を入れるかどうかは決定していきたいと考えていきます。
 以上でございます。

◆田中文代

そうなのですね。先行事例であってもそこに入ってないということで、単純に考えて、例えば進路を選択するときに、ここの高校にこの部があるからここに行きたいというような中学校の生徒、非常に多いと思うのです。これから本市独自で検討していただきたいと思いますし、これまで内申書に記入していた部活動の記録などについても、今後、取扱いが変わってくるかと思いますので、またそういった準備も進めていただきたいと思います。
 それから、次ですが、今回の提言書の中では、丸々1章を割いて、「地域におけるスポーツ指導者の質と量の確保方策」というタイトルで、現状と課題、また、求められる対応について述べられています。今後、地域移行に向けて、指導者の確保が一番の課題ではないかと考えられますが、JSPO(公益財団法人日本スポーツ協会)が6月から開始している教員免許状保持者を対象としたスタートコーチ養成のプログラムについて、本市ではどのように対応しておられますか。

◎教育長(野口政吾君)

JSPO、日本スポーツ協会の認定のスタートコーチ養成プログラムですけれども、今現在、中学校の教員は、そういう資格とか認定がなくても部活動は指導できますが、地域移行になった場合は、当然そういう資格が必要になってくると、スポーツ少年団と同じような考えだと思います。
 まだ中学校教員に明確には示しておりませんけれども、今後、部活動、学校教員をやりながら兼職兼業で地域の運営団体に入って、土日部活動を指導するということも考えられますので、その認定のライセンス等につきましては、取得できるように周知、検討していければと思っています。
 以上でございます。

◆田中文代

Jスポのほうで、今回、公認スポーツ指導者資格における位置づけということで、本当にコーチといっても大会参加の資格であるとか、いろいろカテゴリーが分かれるのですが、そういう中で、新たにスタートコーチ──この教員免許状不所持者が指導する場合のスタートコーチの養成をするということで、この、講習方法は全部オンラインなのですが、もう6月から養成が始まっております。
 で、本来の目的は本当にこの地域における新たなスポーツ環境の構築ということで、その背景には教員の働き方改革、中高生のスポーツ環境の維持・充実があるということになります。
 ただ、費用が1万4,980円というふうになってまして、お金がかかるのです。こういった部分もぜひ、本気で指導者の確保を考えるのであれば、この制度の周知とともに何らかの補助をしていただけるといいのではないかと思っております。
 先進的な事例の中では、例えばこういった資格を持った方が、平日、毎日どこかのクラブチームというか、地域移行した場合のクラブチームに参加して、そうすると、もうこれが副業として完全に成立するのではないかというような事例も出ておりました。これから教員の副業ということも本格的に考えられる時期に来ているのかなとは思いますので、こういった養成も始まっているということで、ぜひ周知していただきたいと思います。
 本市におきましては、全国に先駆けて部活動指導員制度を導入していただきましたので、その素地はあると思います。でも、実際問題として本当に指導者は足りないというのが現状だと思いますので、ぜひ地域人材の掘り起こしも兼ねて、この制度をまた活用していただければと思います。
 検討会議の中で、委員の皆さんが口をそろえて、地域移行についてのきちんとした財源確保を国に求めたいとおっしゃってました。提言を受けて、6月6日に行われた記者会見の中で、室伏広治スポーツ庁長官も、これからスポーツ庁として概算要求をしていくと述べておられましたが、予算がついたとしても、それを全国に割り振るわけですから、国から下りてくるお金の範囲でできる部分はほんの基礎的な部分ではないかと予想されます。もしも、国から下りてくる財源が今後展開する地域移行について潤沢でなかった場合、市の予算としてきちんと補充されるお考えはありますでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

市の予算のことですので、私が軽々に答えるわけにはいきませんけれども、この提言では、当然財源の確保による国の支援が必要であると。ただし、これについては今後方法等を検討していく。そして、各基礎自治体、市町村においても支援体制を整備する必要があるというふうに述べられておりますので、これは多分、教育委員会だけでできるものではありませんし、市長部局と一緒になってやらなければできないことですので、そのあたりは一緒になって行いたいと思います。市長さんがもう発言の準備をされていますので。

◎市長(篠﨑圭二君)

御質問ありがとうございます。今、議員がおっしゃったように、部活動の意義、私自身も中高大とずっと部活動をやっておりましたので、様々な意義があるというふうに思います。
 今から検討協議会で様々な議論があると思いますが、例えば、今後地域に移行した場合、競技をどの種類まで用意したらいいのかというような課題等も出てくると思いますが、市としましては、できる限り子供たちの成長にハードルが少しでもないように、スポーツ等を親しめるような環境整備に努めていきたいというふうに考えております。そのあたりは教育長ともしっかりとタッグを組んで進めていきたいと思っております。

◆田中文代

力強いお言葉、ありがとうございました。
 指導者への謝礼金であるとか、用具代、ユニフォーム代、大会時の移動費、保険と、やはりスポーツに関わるとなかなかお金がかかります。これが全て受益者負担となりますと、もう費用の捻出が経済的に難しいという家庭が出てくると思います。
 今回の提言は、まず大前提に、子供たちがスポーツに楽しめる機会の確保ということをうたわれていますので、今回の改革の趣旨を失うことのないよう、損なうことのないよう全市を挙げて取り組んでいただきたいと思いますし、こういったことで不公平感が保護者の間に生まれないように、子供たちが傷つくことのないように、しっかり準備をしていただければと思います。
 もう1つ、地域移行について大きな要素となるのが場所の確保、具体的に言えば、一番地域に密着した施設としての学校を開放することではないかと考えられますが、その方向についての考えはいかがでしょうか。
 以前、総合型スポーツクラブについて、関係者の方が市内全域に広げていくために、教育委員会に学校体育施設の開放の見直しをお願いされたところ、何の反応もなかったということですが、今後についてのお考えをお聞かせください。

◎教育長(野口政吾君)

中学生をはじめとした地域住民、市民の皆さんのスポーツ活動につきましては、積極的に市の施設、学校の施設を開放していくということで、当然、この地域移行になっても解放していく方向には変わりはありませんが、やはり気をつけなければいけないのは、地域移行になったからといって、今の活動よりも縮小したら意味がありませんので、今の活動より現状維持プラスいい状況になるような施設開放、施設利用を進めていきたいと考えております。
 以上でございます。

◆田中文代

ありがとうございます。より充実したスポーツを体験できるというふうに理解いたしました。
 再質問の最後になりますが、第1点の部活動の教育的意義についての御答弁でも触れられておりましたけれども、従来の部活動は、中学生という多感な時期の人格形成に大きな影響を及ぼすものであったと考えます。教科を教えるだけでは見えてこない生徒の実像を、部活動を通して理解していたという教員の方も多かったのではないかと思いますが、今後、こういった教育的意義の部分は、地域移行によってきちんと担保されるとお考えでしょうか。

◎教育長(野口政吾君)

学校部活動から地域部活動に変わりますので、例えば、先ほど答弁で申しました学校の一体感とか、愛校心とか、コミスクの活動という点は少し変わってくるとは思いますけれども、やはり根本であるのは、例えば生徒が活動をして、いい成果があって、自己肯定感が高まったとか、いろいろなことに対する意欲が高まった、意欲が向上してきたとか、または人間関係、生徒同士の人間関係が醸成された、そういう教育的意義については、しっかり担保できるように取り組んでいきたいと思っております。
 さらに、地域移行によって、これまで学校だけでは経験できなかった地域の方とのいろいろな活動、地域の指導者とか、いろいろな方との関わりによって新たな考えや見方に触れるとか、新たな交流が生まれるとか、そういうことも期待できるのではないかと思います。
 以上でございます。

◆田中文代

ありがとうございます。本当にそうなればいいなと思いますし、そうなることでまた地域が活性化すると思いますので、この方向、本当にうまく進めていっていただければなと思います。
 検討会議では、地域移行について、部活動の意義を継承して、新しい価値を創造するものだという言葉が出ておりましたが、ちょっとイメージがしにくいというか、新しい価値を創造するというのは、具体的に何がどうなることなのかというような思いがいたしました。
 今回、私は本件に関して質問を思い立ったのは、関係者のみならず、地域の全ての人々が部活動の地域移行の必然性を理解して、共通認識をすることができれば、おのずと子供たちのためにできることが見えてくると考えたからです。
 しかし、まだまだこの件に関しては、市民の方々あるいは当事者の方々に届いている情報は少なく、したがって理解も低く、漠然とした不安のみあるというのが実情ではないかと思われます。
 先日、ある中学校の教員の方に、この部活動の地域移行について質問してみたところ、正直言ってこんなことが本当にできるのだろうかと思ってますというお答えでした。現場におられる方でさえ、現在ではそういったところだと思います。
 御答弁では、7月に協議会を立ち上げて、それから課題等について協議を進めていくということでしたが、この定められた期間の間、地域移行をうまくソフトランディングできるのか。これからの限られた時間をいかに有効に使うのか、真剣に問われていると感じております。
 スポーツ庁は、2年前の2020年3月には、既に運動部活動イノベーション、学校・地域・民間が協働する部活動改革という動画をユーチューブに公開して、少子化の下での部活動の地域移行の先進事例を示し、その再生回数は1万回を超えております。
 また、フェイスブックには、2017年に総合型スポーツクラブの関係者、埼玉県浦和市の方ですが、部活動と地域スポーツクラブの関係を考えるというページを立ち上げておられ、現在、登録者数は全国で6,479名、各種の取組について、様々な立場の方が情報を発信され、情報公開の場となっております。
 例を挙げますと、長崎県長与町では、指導者確保のために、競技ごとの地域部活動説明会を開催され、岐阜県では、部活動の地域移行を念頭に、各地区スポーツ少年団が総合型スポーツクラブへの登録の検討を開始されるなど、各地で様々な動きが既に始まっております。
 本市では、これから協議会を立ち上げてアンケート調査も実施されるということですが、これまでの質問の中でお願いしてきたことと併せて、1件忘れてはならないことを要望させていただきます。
 それは、特別支援学級などで学んでいる障害のある子供たち、この生徒たちを置き去りにしないでほしいということです。障害のある生徒は、これまで競技力向上に重きを置かれている部活動の中ではなかなか参加が難しく、親も周囲に迷惑をかけるのではないかということで、なかなか入部ということが難しかったのですが、今回、スポーツ庁の室伏長官は、部活動の地域移行について、子供たちにスポーツ体験の格差が生まれないようにすることが重要であるというふうに認識を示されました。
 これは少子化による地域格差また貧富の差による格差のみならず、障害の有無による格差というものの意味合いも含んでいるというふうに、私は解釈しております。
 これから実施されるアンケート調査におきましては、しっかりと子供たちや保護者の声を聞き取り、本市ならではの共創の取組で、この大きな改革を前進させていただきたいと思います。
 最後に1件、新聞のコラムを紹介させていただきたいのですが、6月8日の日本経済新聞のスポーツの力というスポーツ覧に載った記事です。
 元陸上選手の為末大さんがSNSで、私たちの国は、何かあったらどうするんだ症候群にかかっているということを発信されて、非常に話題になったということです。
 これまで、何かあったらどうするのだと、こういうことに教職員の方も縛られて、なかなか大きなことが進められなかったのではないかと思いますが、この大きな改革に当たっては、ぜひそういった誰が責任を取るのだとか、そういう問題ではなくて、子供たちの未来を考えて、しっかり新しいことにチャレンジしていただきたいと思いますし、それを応援する社会でありたいというふうに願っております。
 以上で、私の質問を終わります。ありがとうございました。

◎教育長(野口政吾君)

今、田中議員さんの第2点の地域移行の必然性に関する答弁中、誤って、生徒数の減少は部員の減少につながると申しましたけれども、正しくは、生徒数の減少は教員の減少につながるということでございました。訂正して、おわび申し上げます。