平成28年(2016年) 06月定例会
平成28年06月17日(金)
1. 地域公共交通の今後について
(1)利便性の向上
ア 乗継拠点の設置
イ 地域内交通の導入
ウ バリアフリー
エ 宇部CCRC構想に向けた取り組み
(2)まちなかのにぎわい創出に向けて
ア JR宇部新川駅周辺の整備の状況
イ 市街地循環線の導入
(3)公共交通としてのタクシー
田中文代の発言は、背景を青色で表示しています。
◆田中文代
チーム創生の田中文代です。議員になって以来、5回目となります公共交通に関する質問です。午前中の城美議員の宇部市地域公共交通再編実施計画に関する質問と、質問の趣旨は異なりますが、あわせて本市の公共交通政策のより深い御理解を市民の皆様にお願いするものとなるかと思います。よろしくお願いいたします。
本市においては、平成19年度に宇部市生活交通活性化計画が策定され、翌平成20年度には、それに続く形で宇部市地域公共交通総合連携計画が策定され、平成21年から平成23年度までを実施期間として取り組まれました。時代の流れとともに、国においては道路運送法などに関して、規制緩和ともいうべき法律の改正が進み、暮らしの足や物流はさまざまに変化しております。平成19年の地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の制定、そしてその後も全国の地方都市において人口減少、少子高齢化が加速度的に進展し続けていることから、この流れを食いとめ、地域活力を維持、強化するためには、コンパクトなまちづくり、コンパクトシティ・プラス・ネットワークという考え方が必要であるとして、平成26年11月にはこの法律の改正法、正式名は地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律が施行されました。地方自治体においては、この改正再生法と、その前年に施行されました交通政策基本法を受けて、地域にとって望ましい持続可能な地域公共交通網の姿を明らかにするマスタープランを策定することとなり、本市においてはことし3月に宇部市地域公共交通網形成計画、通称網計画が策定され、その全容が明らかになったになったところです。
以下、網計画と呼ばせていただきますが、全国ではまだ策定途中である地方自治体も多い中で、本市においてはいち早く策定を実現され、また、その特色としてまちづくりと一体となった計画ということで、平成27年3月に策定された宇部市にぎわいエコまち計画の実現のための具体的なネットワーク再構築ということに主眼を置かれている点で、とても評価されるべきものと思いますが、何といっても、計画そのものの真の評価は実現性をもってなされるべきです。
この網計画の中には、主要な目標が3つ掲げられています。目標1は、地域公共交通の利便性の向上、目標2は、まちなかのにぎわい創出への貢献、目標3は、利用促進運行改善による地域公共交通の維持です。計画では、この3つの目標のもとにそれぞれの施策がぶら下がる形で定められているわけですが、今回はその施策の幾つかと、それに連動してかかわってくる地域公共交通の課題について、質問させていただきたいと思います。
質問の大項目の1つ目は、網計画の目標の第1番に上げられている利便性の向上についてです。以下、ア、イ、ウ、エと4点に絞って質問させていただきます。
ア、乗り継ぎ拠点の設置。
今回の網計画の最も大きな目玉は、バス路線の再編と私は捉えています。利便性向上のため、複雑でわかりにくいバス路線を人口集積に応じためり張りのある路線に再編することを目的とされていますが、その具体的な施策の1つが、乗り継ぎ拠点の設定です。計画の中で示された主要幹線は海側を走る国道190号と、それにつながるJR宇部駅及び山口宇部空港を結ぶ県道並びに市道、そして通称参宮通りと呼ばれる国道490号などで、これらは木に例えると幹の部分に当たります。現在は、乗り継ぎ拠点としてJR宇部駅、宇部新川駅と山口宇部空港の3カ所が位置づけられていますが、南北に長い本市の地形から、かねてからハブ化ということが言われてきました。計画の中では、これまでの3カ所に加えて、新たに2カ所の乗り継ぎ拠点が示されています。この乗り継ぎ拠点の設置について、場所の選定根拠、設置について期待される効果、現時点での取り組み状況についてお尋ねいたします。
イ、地域内交通の導入。
先ほども申し上げましたが、今回の網計画の目玉はバス路線の再編です。さきに上げた主要幹線や幹線、市街地循環などの支線以外のいわゆる枝葉の部分のそれぞれの地区内での交通については、日常生活の移動を確保し、利便性を向上するため、地域組織による地域内交通の導入を支援すると示されています。具体的には、地域の中で運営主体となる地域組織を設立して、みずからの暮らしの足をデザインし、コミュニティータクシー、デマンドタクシー、自家用有償旅客運送などを運営してもらうというものです。計画の中では、運営主体となる地域組織の設立を支援するとなっていますが、具体的にはどういった形で支援に入られるのでしょうか。また、運営組織ができたとして、経費の流れはどのようになるのでしょうか。また、実際の運行については、利用促進や収支改善にインセンティブが働く仕組みを検討すると計画にはありますが、具体的にはどういうものでしょうか。
ウ、バリアフリー。
ことし4月からいよいよ障害者差別解消法が施行され、公共交通のさまざまな場面においても、従前からのハートビル法、交通バリアフリー法、そしてバリアフリー新法に加えて、バリアフリー化の流れがハード、ソフトの両面において一気に加速されるものと期待するところですが、今回の本市の網計画の中では、この分野に関しては触れられている施策は、バリアフリー車両の購入という1点のみです。具体的にはノンステップバスの年次的な導入支援ということで、これまでも行われてきたことで、別段目新しいことでもありませんが、実際のところ、今あるノンステップバスがどれぐらいの障害者の方に利用されているのか、その実績についてどのように現状を把握され、計画実施に当たってその後の進捗をどのように想定しておられるのか、教えていただければと思います。
エ、宇部CCRC構想に向けた取り組み。
昨年10月に策定された宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略の中で、5つの目標のうちの1つとして掲げられた、新しい人の流れをつくる。その目標に向けての取り組みの1つが宇部CCRC構想です。具体的には、モデル地域を中心市街地とあすとぴあに定め、アクティブシニアにとどまらず、子育て世代も含めて大都市からの移住やモデル地域への市域内転居を促そうというものです。しかし、ここで大きな疑問が浮かび上がってきます。市域内転居者は別として、数分おきに電車がやってくるような公共交通網の張りめぐらされた場所で生活してきた大都市からの移住者にとって、車がないと生活できないような場所での暮らしが果たして豊かさを実感できるものになり得るでしょうか。宇部CCRC構想のコンセプトの中には、日常生活の重要な要素である移動手段の部分については何も触れられていませんが、構想を実現するためにこの部分が抜け落ちていることに、大いに危惧するところです。この点について、お考えをお聞かせいただければと思います。
続きまして、大きな項目の2点目に移ります。
網計画の目標の2番目に掲げられている、まちなかのにぎわい創出に向けてということについて、アとイと2点について、質問いたします。
ア、JR宇部新川駅周辺の整備状況について。
3月議会の我が会派、チーム創生の代表質問でもこの点について触れさせていただきましたが、その後の進捗状況について教えてください。
イ、市街地循環線の導入。
網計画の中では、まちなかの円滑な移動環境をつくり、まちなかのにぎわい創出へ貢献することを目的として、平成29年度までを導入期間、その後、事業継続として市街地循環線の導入を施策として定めています。市街地循環バスと聞いて思い浮かぶのは、平成24年4月に宇部新川駅を始点・終点として運転を開始しためぐりーなですが、めぐりーなに関しては、運行開始1年後の平成25年3月の広報うべの一面トップにもっと知って乗ってほしいという記事が掲載されたことからもわかるように、利用者数は当初の期待からは伸び悩むものとなりました。今回新たに導入される市街地循環線については、めぐりーなと何が違うのか、運行に向けてのスケジュールと合わせてお答えいただければと思います。
質問の最後は、公共交通としてのタクシーについてです。平成21年に議員立法で成立し、その後も改正を重ねて、現在は特定地域及び準特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法、通称タクシー適活法として施行されている国の法律では、その総則の第1条の冒頭において、一般乗用旅客自動車運送、すなわちタクシーを地域公共交通の一部として定義づけています。
以前にも一般質問で取り上げましたが、高齢者の方たちの暮らしの足の問題は深刻です。実際問題として、市民にとってなくなって困るのはバスよりもタクシーであり、今後も買い物、通院など、需要は高まっていくものと予想されます。いざというとき、呼べばそこまで来てくれる、交通手段としては最も利便性の高いタクシーについて、市として交通事業の一部としてどのように位置づけ、かかわっていかれるお考えなのか、教えていただければと思います。
以上、地域公共交通の今後について、大きく7点についての質問となりますが、御答弁のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
◎久保田后子市長
田中議員の御質問にお答えをいたします。
御質問、地域公共交通の今後について。
第1点、利便性の向上。
ア、乗り継ぎ拠点の設置についてのお尋ねですが、本市では、まちづくりと一体となった持続可能な地域公共交通網の形成に取り組むとともに、地域にとって望ましい公共交通網の姿を明らかにするマスタープランとして、宇部市地域公共交通網形成計画を平成28年3月に策定いたしました。
この計画においては、議員からも御紹介をいただいたように、地域公共交通の利便性の向上を図るため、バス路線再編の方針を定めており、その1つに5つの乗り継ぎ拠点を設置することとしています。その位置は、宇部市にぎわいエコまち計画で示している都市拠点である宇部新川駅及び地域拠点となっている宇部駅、また、空と陸の交通結節点である山口宇部空港としています。これらに加えて、主要幹線上にあって、宇部新川駅から路線バスで片道30分を目安に運行可能な位置として、市の中心部と北部の交通結節点となる川上南側付近、また、市の中心部と地域拠点である西岐波を結ぶ宇部興産中央病院付近への設置も検討しています。現在、川上南側付近及び宇部興産中央病院付近への乗り継ぎ拠点の設置に向けて、候補地の選定など、関係者等と調整を進めているところです。
これらの乗り継ぎ拠点を設置することで、バス路線再編後の主要幹線や幹線、支線、そして、地域内交通の接続性を高めるとともに、主要幹線における路線バスの高頻度で等間隔の運行の実現によって、行き先や運行ダイヤがわかりやすくなるなど、便利で使える地域公共交通網を形成していきたいと考えています。
イ、地域内交通の導入についてですが、地域内交通は、日常生活の移動手段を確保し、地域公共交通の利便性を向上させるために、必要かつ有効な手段と考えており、宇部市地域公共交通網形成計画では、バス路線の主要幹線化や乗り継ぎ拠点の設置とともに、地域内交通を導入していくこととしています。
本市では、路線バスが運行していない地域や、これから見直しが行われる区間、また、乗り継ぎ拠点の周辺地域などにおいて、平成28年10月の実証運行に向けて、現在、大森周辺地区及び原校区において住民との協議を進めており、また、東岐波、西岐波地区についても検討を進めているところです。
導入を検討している地域に対しては、地域内交通についての理解を深めるため、地域支援員等と連携して、制度の説明を初め、必要となる情報提供や視察を行っています。
さらに、実証運行までの準備段階では、利用者ニーズの把握や運行ルートや運行便数、運賃などの具体的な検討への助言のほか、車両の運行を担う交通事業者や関係機関等との調整、協議等に、市としても積極的にかかわり支援していきます。
なお、導入後の運営経費については、運賃収入や国の補助金、また、地元の民間事業者等の寄附金などで賄い、不足分については市が補助金として支援いたします。
また、運営主体の努力によって、安定した収入が確保されている場合や、収支の改善が図られた場合においては、経営努力が報われるようなインセンティブについても、運営主体の意向や地域の特性、コミュニティー活動の展開状況などを考慮して具体化したいと考えています。
バス路線再編を円滑に進めるためにも、引き続き、地域ニーズの掘り起こしに努め、市内各地での地域内交通の早期導入に向けて積極的に取り組んでいきます。
ウ、バリアフリーについてですが、路線バスは、通勤・通学はもとより、買い物や通院など日常生活を支える移動手段として、重要な役割を担っています。
交通局では、車椅子使用者を初め、誰もが、いつでも気軽に安心して利用できるようにバリアフリーの取り組みとして、路線バスのノンステップ化を進めていますが、平成28年4月1日時点の保有台数は29台であり、全体の約4割にとどまっています。現在、ノンステップバスに乗車される車椅子使用者は、おおむね1日に1名から3名いらっしゃいますが、運行ルートや回数が限定的となることから、十分な御利用状況には至っていません。このため、宇部市地域公共交通網形成計画では、国の補助制度を活用しながら、年次的にノンステップバスの保有台数の増加に努めることにしています。
まず、第1段階として、計画最終年度となる平成33年度では、路線バス全体の7割を確保するとともに、バス路線の再編に伴う、バス保有台数の最適化を進める中で、できるだけ早く全車両のノンステップ化を目指します。また、交通局では、障害者差別解消法の施行にあわせ、車椅子使用者に適切に対応できる知識を身につけるため、このたび、車椅子使用者を招いた実践的な研修を、全乗務員を対象に実施したところです。
今後とも、車椅子使用者はもとより、より多くの皆様に安心して快適にバスを利用いただけるように、ハードとソフト両面にわたって、環境整備を進めていきます。
エ、宇部CCRC構想に向けた取り組みについてです。本市では、宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づいて、移住、定住を促進する取り組みとして、高齢者のみならず、若い世代も含めたさまざまな世代が共働、交流する宇部多世代共働交流まちづくりを目指し、宇部CCRC構想を平成28年3月に策定いたしました。
この構想では、中心市街地とあすとぴあ地区をモデル地域として位置づけ、生涯活躍のまちづくりのモデル構築に取り組むこととしていますが、この2つのモデル地域において、公共交通の利便性を確保することが課題であると考えています。
このため、宇部市地域公共交通網形成計画に基づき、中心市街地においては、幹線バス路線の等間隔の運行や市街地循環線の運行を検討しており、また、あすとぴあ地区では、移住者のニーズに合わせて、既存バス路線の運行経路の検討や地域内交通の積極的な導入支援に取り組んでいきます。これらの取り組みによって、モデル地域における公共交通の利便性の確保を図っていきます。
なお、宇部CCRC構想を実現するための具体的な事業計画に向けて、現在、その作業を準備中であり、その中で移動手段も検討しているところです。
第2点、まちなかのにぎわい創出に向けて。
ア、JR宇部新川駅周辺の整備の状況についてですが、宇部市まち・ひと・しごと創生総合戦略において、重要な基本目標の1つとして、にぎわいエコまち計画に基づく中心市街地の都市基盤の整備を掲げており、宇部新川駅周辺地区は、重点整備地区の1つに位置づけています。
この宇部新川駅周辺地区の整備については、にぎわいエントランスゾーンとして、玄関口としての魅力ある空間、利便性・快適性の高いにぎわいのある都市拠点、利用しやすい広域からの交通結節点の3つの整備方針を掲げ、宇部新川駅を中心とした再開発事業を進めていきます。
このため、再開発事業着手の第1段階として、現在は事業可能性調査を実施しているところです。この調査では、宇部新川駅周辺地区約13.6ヘクタールを南北7つのブロックに分けて、住宅、商業、医療福祉などの機能を含めた土地利用計画案や老朽化した宇部新川駅を含む駅前広場、周辺道路、セントラルパーク化に向けた渡辺翁記念公園などの主要な公共施設に関する整備方針や概略施行プログラムなどを、地区再生計画として8月中に取りまとめる予定です。
また、この7ブロックのうちの宇部新川駅南側の駅前広場周辺については、先行して事業を進めていくことを考えており、地区内の地権者の意向調査や施設需要予測や地区の課題抽出などの調査を行い、再開発に向け、意見調整を図っていきます。
この地区については、平成28年度中に、施設計画案や施行プログラム、事業費算定、資金計画などを盛り込んだ街区整備計画の策定に着手します。計画策定に当たっては、説明会を通じて、住民の意見を取り入れながら進めていきます。
これらのプロセスを経た後に、事業着手に必要な都市計画決定や事業計画認可取得に取り組むとともに、再開発に向けた民間組織の立ち上げを支援し、魅力ある機能を備えた宇部新川駅前広場周辺の再開発に取り組みます。
イ、市街地循環線の導入についてですが、現在、市街地を循環する路線としては、宇部新川駅を起点に、市内東部の観光地や公共施設へのアクセス向上、市街地の活性化を目的に運行する東部市内循環線、通称めぐりーながあります。一方、宇部市地域公共交通網形成計画に掲げた市街地循環線は、まちづくりの指針である宇部市にぎわいエコまち計画と連動し、市民はもとより、市外から来訪される方々にとっても、中心市街地を円滑、快適に移動できる環境をつくり、まちなかのにぎわい創出を図るため導入するものです。
今後、めぐりーなを初めとした市街地を運行する既存路線との調整、地域内交通との連携も十分に踏まえ、中心市街地の主要スポットをめぐる最適なルートや運行方法等を決定し、平成28年10月から運行を開始いたします。
第3点、公共交通としてのタクシーについてですが、タクシーは、地域や時間帯にかかわらず、利用者のニーズに柔軟に対応できる利便性の高い公共交通機関であり、本市においては、12の事業者がほぼ市内全域をカバーしています。
また、北部地域等では、地域内交通の運行も行っているところであり、買い物弱者対策や通院対策など、地域課題の解決や政策の推進を図る観点からも、公共交通の一翼を担うタクシーの役割は、ますます重要になってくると認識しています。
タクシー事業者には、これまでも、福祉タクシー制度など御協力をいただいており、最近では車椅子使用者に限らず、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシーの導入やシティーセールスへの協力など、市の施策と連携した取り組みを進めています。
今後、バス路線の再編や高齢化の進展によって、日常生活の移動手段が確保できない地域に対しては、タクシーを運行事業者とした地域内交通を導入していきたいと考え、タクシー協会へも協力をお願いしているところであり、地域内交通に係る乗り物の整備や運行ルート、運賃の設定などに、引き続いて事業者と連携して取り組んでいきます。
以上で、私の壇上での答弁を終わります。
◆田中文代
要所要所で詳しい御答弁いただきまして、ありがとうございました。
それでは、質問席より再質問と言いたいところですが、時間がございませんので、要望のみとさせていただきたいと思います。
質問の1点目、網計画の中で示されている乗り継ぎ拠点の設置についてですが、今後、関係者と調整を進めていかれるとのことですが、これはいわゆる枝葉の部分に当たる地域内交通の導入にとって、大きな意味を持つものとなると思います。そして、そこでひとたび結節点ができましたら、そこで乗降される方のにぎわいも生まれてくると思われます。もともと低炭素のまちづくりの考えに沿って策定された今回の網計画ですから、自転車や自家用車のパークアンドライドの可能性も十分視野に入れていただいて、適正な用地の確保に努めていただきたいと思います。
それから、バリアフリーについて1点、大きく要望させていただきたいのですが、今後、早急に全車両ノンステップ化されるということでぜひよろしくお願いしたいと思いますが、バリアフリーに関しましては、最後の公共交通のタクシーのところでも出てまいりました。ユニバーサルデザインタクシー──通称UDタクシー、これについて1点要望させていただきたいのですが、先日、パルセンター宇部で開催されました、差別のない地域社会を目指してと題する障害者差別解消法に関する講演会で、最後に質疑応答の部分がありました。その中で市内の車椅子利用者の方から、このUDタクシーの利用について、車椅子利用者の方に500円プラス加算があるということで御意見が出ました。これは障害者差別解消法の不当な差別的な取り扱いに当たらないのかという御質問でしたが、市役所に問い合わせまして、国土交通省の山口運輸支局に確かめていただきましたら、現在では、民間に関しては努力義務ということで、金額の設定までは関与できないという御報告でしたが、現在、3年後の見直しに向けて全国でこういった事例が集められているところです。
本市におきましては、ぜひ、3年後の見直しを待たずに、こういった部分に関して是正の意見を出していただきたいというふうに思います。ぜひ、強く要望させていただきます。
それから、最後、公共交通についてのタクシーに関してですが、昨年11月28日にシルバーふれあいセンターにおいて開催されました、宇部市公共交通シンポジウムに講師としておいでいただいた公共交通のスペシャリストである名古屋大学の加藤博和先生、御自分の論文の中で、タクシーは最後の公共交通と位置づけられ、高齢化や郊外部の人口減少によって、今後はタクシーがバス交通を補完、もしくは代替して公共サービスを確保する局面がどんどん広がっていくことが見込まれて、ニーズに合った適材適所の輸送手段を探り当てていく作業が必要というふうに述べておられます。
これは、午前中の城美議員の質問の中にも出てきました、バスの守備範囲の縮小、こういったことにつながるかと思いますが、実際、愛知県小牧市、春日井市では、夜の最終バスの後に、その3倍の運賃で6人乗りの乗り合いタクシーが運行されており、バスルート上なら、どこでも降車できる使いやすさが受けて利用者も多いそうです。
また、おととい6月15日の日経新聞くらし欄には、「高齢者、なぜ救急車頼み」という記事が載りましたが、その内容は、高齢者の方々の救急搬送がふえており、身近に頼れる人がいない高齢者の方が、比較的軽い症状でも救急車を呼ぶ例が少なくないことを指摘する内容でした。
もしや、本市においてもと思いまして、消防署に問い合わせてみたところ、救急搬送された人のうち75歳以上で入院などに至らない軽症だった人の数は、75歳以上の方ですが、平成26年度は2,365人中の674人で28.4%、救急車の適正利用の大々的なキャンペーンが行われました昨年平成27年度は、全体数は減ったものの2,058人中の618人で30%と、やはり上昇傾向にあることがわかりました。救急車でなく、もっとタクシーに活躍の場があるはずではないかと単純に思われるところです。
公共交通については、今は乗らないけれども、将来、車に乗れなくなったら利用するという声もよく聞かれますが、これは実際のところ、全く信憑性のない言葉ということも言われています。本市の北部の現状などを見てもわかりますように、高齢者の方々は、ぎりぎりまで免許証を手放さずに車に乗っておられます。もう車に乗れなくなるときは、実際には御自分一人での移動がかなわなくなるときということも言われております。
やっと、まちづくりとあわせた公共交通網の計画ができ上がったところでございますので、実現に向けてしっかり取り組んでいっていただきたいと思います。
これで、私の質問を終わります。